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24年第2四半期におけるスマホの出荷台数が6.5%上昇、回復進む

世界の半導体市場が徐々に回復してきている様子をスマートフォンの出荷台数から見ることができる。2024年第2四半期(4〜6月期)におけるスマホの出荷台数が前年同期比6.5%増の2億8540万ドルになったとIDCが報告した。ハイエンド品の多いSamsungとAppleはほぼ横ばいだが、ローエンド品の多い中国の小米とVivoのスマホはそれぞれ同27%、22%成長した。

Top 5 Companies, Worldwide Smartphone Shipments, Market Share, and Year-Over-Year Growth, Q2 2024 / IDC

図1 IDCが発表したスマートフォンの最新出荷台数 出典:IDC


2024年第2四半期が成長したということは、OEM(スマートフォンメーカー)の在庫が解消されつつあることを示している。現在のところ、昨年と比べて大きな需要はまだないものの、従来の買い替え需要が回復を支えており、緩い回復と言える。一般に例年、スマホの出荷台数は、第4四半期のクリスマス商戦をピークに、第1四半期は落ち、第2四半期、第3四半期と上がっていくという景気パターンが多い。

スマホ向けの半導体製品の中でもメモリ(DRAMとNANDフラッシュ)が使われる数量が最も多いため、スマホの出荷台数はメモリビジネスに直結する。また、電子機器の中でもスマホが最も出荷台数は多いため、半導体の業績に直結することが多い。産業用機器はスマホの製造機器や測定器、通信機器など間接的に影響されるものがあるため、スマホの景況の後に結果が表面化してくるという市場の特徴がある。

小米とVivoの急成長は中国内と新興国の需要によるもので、ローエンド品が多いと米市場調査会社のIDCは見ている。一方同じ中国メーカーでもOppoは中国以外の国々に向けたスマホ製品の出荷で伸びは横ばいだった。

今年の後半には、生成AIやAI機能を搭載するスマホが続々登場してくる。さらに5G通信の浸透と、折り畳み式スマホの普及などが後押しする。生成AI搭載スマホは、今年の出荷台数のうちの19%の2億3400万台に相当する、とIDCは予測する。これらの動きが後半の需要を生み、今年の後半は明るくなるとIDCは見ている。IDCの予測から逆算して今年のスマホ出荷台数は、12億3200万台と見積もることができる。

(2024/07/25)
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