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24年の世界半導体製造装置市場、史上最高の1095億ドルへ、SEMI発表

世界の半導体製造装置市場は2024年に1094.7億ドルになりそうだという予測をSEMIがセミコンウェストに合わせて発表した。前年比ではわずか3.4%成長に留まるが、25年に本格的な16.5%成長の1275.3億ドルになる見込みだ。今年の伸びが緩いものの、1094.7億ドルという数字は過去最高だった2022年の1074億ドルをわずかだが上回っている。今年の伸びの緩さについてSEMIは触れていないが、大きく2つの理由がある。

SEMI 2024 Mid-year total equipment forecast by segment / SEMI

図1 世界半導体製造装置の今年と来年の見通し 出典:SEMI


一つは、前年の製造装置の売り上げが意外と伸びたために対前年比でみると、さほど伸びていないことになる。半年前、セミコンジャパンに合わせて発表された数字では、2023年の売り上げは前年比6.1%減の1009億ドルだった(参考資料1)。それが1059億ドルに伸びたため、24年の伸びが緩く見えた。

もう一つの理由は需給状況によるもの。半導体製品の売り上げは昨年9月からずっとプラス成長だが、その前年が悪すぎたためにプラスになっただけにすぎない。前年との差がマイナス100億ドルと悪すぎた22年11月から23年5月までの7カ月間と比べるとマシという程度のプラス成長でしかない。これは半導体ユーザーや流通系での在庫調整を続けてきただけで、強い需要があるわけではない。半導体売り上げの最も多いスマートフォンやパソコンの需要が徐々に回復しつつあるという程度だからだ。強い需要はデータセンターであるが、半導体需要金額から見るとさほど多くはない。

しかし、2024年前半までは在庫調整がやっと終わり、ようやく成長への兆しが見えている。それは単価の値上がりである。特に数量の多いメモリの単価がDRAM、NANDフラッシュとも上がり始めている。このままではメモリ不足になりうるため、半導体メーカーも生産の稼働率を上げ始めている。その次は製造装置の導入を進めることになるため、現在は良くなり始めた程度で、後半から来年にかけて設備増強が本格的になる。

半導体製品の売上額にリンクする製造装置・検査装置は、半導体製造装置の中でも後工程(組立工程とテスター)装置の売り上げだ。アセンブリ&パッケージング(A&P)装置は2023年には前年比30.3%減の40.3億ドル、テスターは同16.6%減の62.7億ドルと大きく沈んでいた。24年はA&Pが同9.9%増の44.3億ドル、テスターは同7.3%増の67.3億ドルとなっており、回復の兆しが見えている。

前工程のプロセス装置は、1〜2年先の需要を見込んで半導体メーカーが投資するため、年の景気の悪さよりももっと長期的に見ていく傾向が強い。図1では、プロセスを担うウェーハファブ装置は2023年もマイナスではなく前年比1.6%増の956.1億ドル、24年は2.8%増の983.1億ドルとなっている。さらに25年は14.7%増の1127.8億ドルにもなると見込まれている。

参考資料
1. 「23年の世界半導体製造装置市場、上方修正で落ち込み減少するも24年は安定に」、セミコンポータル、(2023/12/13)

(2024/07/10)
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