Semiconductor Portal

HOME » セミコンポータルによる分析 » 市場分析

2023年の世界半導体企業のトップランキング、Nvidiaが首位になるか

2023年における世界の半導体製品の販売額(半導体市場)のトップに初めてNvidiaが立つことになりそうだ。このような予想を米半導体市場調査会社のSemiconductor Intelligenceが発表した。2位のIntel、3位のSamsungを抜き、初めてのトップだが、生成AIへの強い高まりがNvidiaの業績を押し上げていると見る。

Top Ten Semiconductor Companies, 2023 / Semiconductor Intelligence

図1 予想される2023年の世界半導体トップ10ランキング 出典:Semiconductor Intelligence


これは第2四半期までの財務データを上場企業各社は公表しており、さらに米国系の企業は第3四半期の予測も立てている。それらの公開された資料と、第4四半期の各社の受注と設計、製造プロセスの見通しなどから、Semiconductor Intelligenceが年間の売上額を推測したようだ。

長い間、トップに君臨してきたIntelは、2017年、18年、21年、Samsungにトップをとられたものの、昨年(22年)はメモリ不況の真っただ中にいたSamsungよりはマシで、トップに返り咲いたが、その勢いはAMDに食われていた。


Nvidiaは、1993年にゲームやマルチメディア向けに3DグラフィックスICの開発で起業し、その時の議論した場がシリコンバレーのコーヒーショップである「デニーズ」だったという逸話は有名だ。最初の製品を出したのが1999年で、同年IPOに成功し、1999年の売り上げは1億5800万ドルだった。3年後には13億6900万ドルと8倍成長を遂げ、パソコンゲームではNvidiaといわれるほど、ゲーム用グラフィックスプロセッサ(お絵かき用のIC)を強力に推し進めた。2012年にはAIに進出し、ニューラルネットワークのAIモデルに欠かせないさまざまなライブラリやソフトウエア開発ツールにも力を入れた。ハードウエアだけではなく、ソフトウエアとサブシステムも充実させ、AIビジネスでは圧倒的な存在感を放つようになった。2023年1月末に終了した2023年度の売上額は270億ドルとなった。

シリコンバレーのデニーズは、NvidiaのCEOであるJensen Huang氏が起業する前に、リアルに近い3Dグラフィックスをパソコンで実現するためのチップを考え出したという出発のコーヒーショップだ。デニーズのCEOであるKelli Valade氏が、Huang氏からそのことを聞き(図2)、今や時価総額1兆ドルのNvidiaに対して、デニーズはこのほど「1兆ドルのインキュベータコンテスト」と題する起業家向けのコンテストを行うと発表した。優勝賞金は2万5000ドル。


Nvidia Huang and Denny’s CEO / Nvidia

図2 Nvidia CEOのJensen Huang氏(右)とデニーズCEOのKelli Valade氏 出典:Nvidia


デニーズは、「世界を変える偉大なアイデアはここから生まれたことを知っているか」と刻んだ盾をテーブルに置き、コンテストへの募集企業を募り始めた。2023年11月21日まで応募を受け付けるという。デニーズのValade氏は、第2、第3のNvidiaがここから出てほしいと願っている。いかにもシリコンバレーらしい小話である。

(2023/10/06)
ご意見・ご感想