AIチップの市場規模、2027年に今年の2倍の1.7兆円に
AIチップの市場規模が2022年現在で442.2億ドル、2023年は前年比20.9%増の534.45億ドル、2024年には同25.6%増の671.48億ドルに成長するという予測をGartnerが発表した。これによると、2027年には2023年の2倍以上の1194億ドル(1.7兆円)という販売額になりそうだ。
図1 AIチップの売上額予想 出典:Gartner予想
生成AIだけではなく、データセンターやエッジインフラ(基地局内など)、エンドポイントデバイスなど広い範囲のAI(機械学習、ディープラーニング)開発に、GPU(グラフィックプロセッサ)をはじめとする高性能AIチップが求められているとした。いろいろな産業界やIT企業などが従来のAIシステムが飽和するにつれ、新しいAIチップが強く要求されるためと見ている。
そもそもAIではニューラルネットワークモデルで学習・推論しているが、GPUだけではなくCPUやFPGAなどでもGPUと同様な行列演算ができるとされてきた。このため、AIチップにはGPUだけではなく、x86系CPUやArmアーキテクチャのCPU、FPGAなどもAIチップの市場規模を求める上で使われてきた。しかし、性能や低消費電力を追求すればするほどGPUやAI専用プロセッサが求められるようになってきた。
Gartnerは、AI利用の民生機器に搭載されているAIアプリケーションプロセッサは、2023年には22年の5.58億ドルから12億ドルになると予想している。AI利用業務をコスト効率が上がるように最適な設計に対する需要が専用のAIチップを求めているという。特に生成AIを日本で開発しようとする動きがある中で、日本でも生成AI向けチップを自前で作っているプリファードネットワークス社や、RISC-V CPUコアとRISC-V AIエンジンで専用プロセッサを作ろうとするデンソーの子会社のNSITEXEなどの登場だ。
生成AIは巨大なソフトウエアを必要とするため、それを短期間で学習実行するためには巨大なプロセッサが必要となる。このため例えばNvidiaのGPUを数千個並列演算処理するAIシステムが求められる。このため単体のGPU1個での使い方ではなく、GPU同士をつなげ、整然とデータを動かすようなプロトコルを含めた超並列演算システムを設計する必要がある。そのためには拡張性を持たせたAIチップと、AIチップ同士を制御するネットワークチップを設計しなければならない。AIチップの需要は極めて高くなる。