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2023年の半導体が4〜20%減速する中、車載向けのみ14%成長の予測

一時的な不況になる2023年の半導体市場は車載向けのみが成長しそうだ。このような見通しを米調査会社のSemiconductor Intelligenceが発表した。世界の半導体市場全体では調査会社によってばらつきはあるものの、全てマイナス成長と見ている。理由は過剰在庫と弱い需要だという。自動車用半導体だけが23年も成長する理由は何か。

車載用半導体の世界のトップ5社を見ていると、2022年には前年比平均32%成長している(表1)。車載半導体トップのInfineon Technologiesは、前年比42%増の81億ドルを達成し、この数字は会社全体の売上額の47%に相当する。また、最も低い成長だったのは第5位のルネサスエレクトロニクスで、17%増の49億ドルであった(参考資料1)。


Automotive Semiconductor Revenues, $Billion / Semiconductor Intelligence

表1 車載半導体メーカーのトップ5社ランキング ルネサスの販売額は円安の影響を大きく受け伸びが少ない 出典:Semiconductor Intelligence

世界の半導体製品の販売額が2022年にわずか3.3%しか成長しなかったが、自動車向けは上位5社の平均では32%成長となった。これはパソコンとタブレットの出荷台数が2022年に前年比17%減となっており、23年もやはり11%減になりそうだ(IDC調べ)。スマートフォンはパソコンとタブレットほどではないが、2022年に同11%減だったが、23年は4%減に留まるだろうとGartnerは予測している。

これに対して、車載向け半導体は、2023年に14%成長すると見込んでいる。図1の数字はクルマそのものの出荷台数の成長率であり、4%となっている。これまで通り、クルマ自身の出荷台数はほぼ飽和しているが、その中身は機械部品からシリコンへの転換が進んでいるため、車載半導体は2桁成長する。


Annual Unit Change / Semiconductor Intelligence

図1 自動車、スマートフォン、PC&タブレットの出荷台数の変化率 出典:Semiconductor Intelligence


2023年に限れば、以下のような理由をSemiconductor Intelligenceは挙げている;
・半導体不足が緩和されているが23年でもそれが続いている製品がある
・車載半導体の在庫が適正在庫を下回っている
・車載半導体には単価の値上がり製品もある
・車の生産台数は4%でプラス成長の見込み
・車1台当たりの半導体量の増加が続いている

クルマ向け半導体は中長期的には成長が続く。1台当たりの半導体の金額は2020年代着実に増えていくと見られている。2023年に予測したS&P AutoTechInsightによれば今後7年間において、クルマ1台当たりの半導体の金額は2022年の854ドルから2029年には1542ドルと80%増えるとしている。

参考資料
1. “Automotive Lone Bright Spot”, Semiconductor Intelligence (2023/03/28)

(2023/03/30)
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