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Gartner、2023年の半導体市場予測を前年比6.5%減に下方修正

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今年の半導体市場の年成長率は前年比6.5%減になりそうだ。このように発表したのは市場調査会社のGartner。同社はWSTSとは全く別に独自に調査しているが、Gartnerの調べでは2022年は同1.1%増の6,017億ドルと初めて6000億ドルを超えたが、23年は再び5000億台の5627億ドルに市場が縮小すると予想する。

Gartnerは、WSTSが前年比4.1%減と予想した11月頃には、2023年の半導体市場を同3.6%減と見ていたが、第2四半期におけるメモリの予想以上の落ち込みによって、より厳しく見るようになったという。11月時点ではOmdia以外の調査会社は前年比-4〜5%という見方が多かった。ただ一つ英国の市場調査会社のFuture Horizonだけは23年を同22%減と見ている。これは2月21日に開催されたSPIマーケットセミナーでも明らかにしている。


2023年以降の半導体市場見通し / Gartner

図1 Gartnerが見る2023年の半導体市場 出典:Gartner


2023年の落ち込みは、主にスマートフォンやコンピュータチップの低迷によると予測する。応用分野別では、有線通信と工業用は横ばいで自動車はプラス成長と見ているが、それ以外の消費者向けとストレージ機器もマイナスと予想している。自動車は12.6%の成長を見込んでいるが、これは2022年中の受注残によるものだという。2023年の新規受注は低迷すると見ている。現在の有線通信とは、基地局などの基幹系通信システム内外の光ファイバシステムを示しており、基地局とデータセンターでの需要を指している。

Gartnerはもう一つ重要な点についても言及している。現在の景気後退は、世界的なマクロ経済ともリンクしていることと、半導体の流通在庫日数が伸びていることの2点だが、流通在庫日数は従来の平均50日から60日へシフトするのではないか、という点だ(図2)。在庫日数を平均的に長く保つということはこれからのニューノーマルになるのではないか、と同社シニアディレクター兼アナリストの山地正恒氏は見ている。実は同様にSPIマーケットセミナーでも、Omdiaのシニアコンサルティングディレクターの南川明氏もこれからは在庫日数が少し伸びると見ていた。


半導体商社の在庫状況 / Gartner

図2 半導体流通商社の在庫日数と回転数 出典:Gartner


在庫日数の延長がニューノーマルとすれば、在庫が解消される日数は予想よりも短縮することになる。GartnerもOmdiaも早ければ今年の中ごろから回復、遅くても第4四半期には回復すると見ているが、その根拠の一つといえそうだ。

さらにもう一つ、新しい事実は、中国の半導体成長が遅れており、これからも米中の事実上の製造装置の禁輸によってさらに遅れるだろうという点だ。Omdiaの南川氏は中国の半導体産業への没落について述べており、Gartnerのデータからもそのヒントが見えている。


過去10年の地域別半導体需要 / Gartner

図3 過去10年間の世界各地の半導体市場 出典:Gartner


図3は、10年間の地域別の半導体需要を示したものだが、日本と欧州がわずかながらシェアが伸び始めているのに対して、中国のシェアが落ち始めているのである。特に2020年に半導体需要のシェアが25.0%のピークを示した後、21年24.9%、22年24.1%と低下している。2020年まではずっと単調増加で増加してきたことと比べると、これは大きな変化といえそうだ。

SPIマーケットセミナーでもOmdiaの南川氏が中国の半導体需要低下を示したこともあり、今後の中国での半導体需要は厳しくなっていくことは間違いなさそうだ。

(2023/02/22)

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