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世界の半導体購入額トップテンランキング、やはりAppleがトップ

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市場調査会社Gartnerは、2022年における世界半導体購入額のトップテンランキングを発表した。これによると1位はApple、2位Samsung、3位Lenovo、4位Dell、5位BBKとなった。トップ10社は2021年と変わらないが、日本企業唯一のソニーは21年の10位から9位へ一つ上がった。中国の携帯メーカー2社と通信機器1社は5〜7位を占めている。

半導体購入額ランキング / Gartnerの発表資料をセミコンポータルが作成

表1 世界半導体ユーザーの購入額(単位は百万ドル) 出典:Gartnerの発表資料を元にセミコンポータルが作成


上位10社の半導体購入額は前年比で7.6%減少したという。2022年は世界的なインフレや景気後退などの影響によりパソコンやスマートフォンの需要が急激に弱まった結果だとしている。半面、自動車やネットワーク、産業用電子機器市場では長引く半導体不足によって、半導体チップの平均単価が上がり、これらの市場向けの半導体メーカーは潤った。

全半導体購入市場は前年比1.1%増なのに、上位10社が7.6%減ということは、上位10社にはパソコンやスマホのメーカーが多いことを意味している。数量的にも金額的にも消費者向けのパソコンやスマホは圧倒的に多いため、景気後退の影響を受けやすい。

中国のゼロコロナ政策が中国国内メーカーに与えた影響は大きかった。このため、中国内のパソコンメーカーのLenovoは前年比17.2%減、OppoやVivoを傘下に持つスマホメーカーBBK Electronicsや、Xiaomi、Huaweiはそれぞれ17.1%減、11.3%減、19.4%減と軒並み二けた減少を記録した。

このような逆風の中でプラス成長を果たしたのは、Samsungとソニーで、それぞれ2.2%増、16.5%増だった。Samsungは折り畳み式スマホでリードしたことに加え、中国勢のゼロコロナ政策で競合が打撃を受けたことでプラス成長したとGartnerは見ている。

ソニーは、ゲーム機プレイステーション5に対する世界的な需要が継続し半導体の消費量が上がった。それでも半導体不足の影響を受けたため、需要水準に見合う生産量を上げることができなかったと見ている。

2022年の世界半導体市場の25%を占めるメモリ市場は、需要の低迷で後半に価格が急落したため10%減少した。上位10社がメモリ市場の49.2%を占めているため、メモリ支出額は大きく低下した。

1位のAppleはこのまま半導体購入額トップを続けるだろうか。アプリケーションプロセッサやGPUコア、PM(パワーマネジメント)ICなどを自社開発するようになり、外部半導体メーカーの購入量は下がる方向である。このほど、Wi-FiとBluetoothの近距離通信チップをBroadcomから購入することを止めるという報道もあった。セルラー通信向けではQualcommとのライセンス料を巡って訴訟したこともあり、できれば自社開発にシフトしたいとAppleは考えている。通信チップを自社開発するようになれば、Appleの購入額は下がり、半導体出荷額は上がるようになる。

(2023/02/07)

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