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寡占化が進むクラウド市場、自前チップでコンピュータを増設可能に

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クラウドサービス企業の寡占化が進んでいる。2022年第3四半期(3Q)におけるクラウド市場シェアは、最大手のAWS(Amazon Web Service)を始め上位3社が66%を占めている。AWSがシェア34%でトップ、2位MicrosoftはAzureと呼ぶプラットフォームで21%と追い上げており、Googleも11%と3位をキープしている。1年前は3社の合計シェアは61%だった。

Cloud Infrastructure Services Market / Synergy Research Group

図1 寡占化進むクラウドインフラサービス市場 出典:Synergy Research Group


この調査は市場調査会社のSynergy Research Group が発表したもの(参考資料1)。2022年3Qのクラウド市場は、前年同期の460億ドルから110億ドル増えて575億ドルとなった。年率24%成長である。昨今は世界的なドル高のため、為替レートが昨年と同じであれば年率30%成長になるという。

クラウド市場は上位3社以外のプレイヤーの売り上げも5年前と比べ3倍に増えているが、彼らのシェアは34%と、5年前の50%よりも落ちている。すなわち、クラウド市場は増加の一途をたどりながら寡占化も進んでいる。トップスリーに続く20社にはアリババやIBMなどが含まれるが、それらの合計売上額は全体の25%に留まっている。

クラウドインフラサービスにはIaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)、プライベートクラウドへのホスティングサービスなどを含み、この1年間では2170億ドルに達する。

クラウドサービス企業の物理的なコンピュータはデータセンターにある。彼らは顧客を獲得するためデータセンターのコンピュータ能力を高め、仮想化して多くの企業や機関にクラウドコンピュータを提供している。ただし、1カ所のデータセンターには原発1基分の電力を消費すると言われており、コンピュータ、すなわちCPUの低消費電力化が最優先課題となっている。大量のコンピュータを備えることで大量の顧客獲得につながるからだ。

GoogleやMicrosoft、Amazonなどが独自の半導体CPUの設計を行う最大の理由が、専用化による消費電力の削減である。コンピュータの消費電力を削減すれば、限られた電力源の中でさらにコンピュータを追加できる。ちなみにMicrosoftは日本に東西2カ所にデータセンターを持っており、それらと世界数十ヵ国、50〜60ヵ所に設置しているデータセンター同士を光ファイバでつないでいる。加えて海底光ケーブル敷設船も自前で持っている。巨大なコンピュータを備えていることになるが、データセンターの場所は公開していない。

参考資料
1. "Q3 Cloud Spending Up Over $11 Billion from 2021 Despite Major Headwinds; Google Increases its Market Share", Synergy Research Group, (2022/10/27)

(2022/11/02)

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