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200mmウェーハ処理工場やチップ生産ライン、25年までに20%能力アップ

世界の200mmウェーハプロセス工場が2021年から2025年まで13生産ラインを増やし、生産能力が20%も増える、とSEMIが発表した。これは月産700万枚のウェーハを処理することになる。これまでウェーハサイズは世代交代でやってきたが、200mmウェーハ処理工場は300mmウェーハと世代交代で消え去るのではなく、共存する時代を迎えた。

図1 200mmウェーハのプロセスラインの生産能力は増える一方 出典: SEMI


200mmウェーハは自動車や産業向けにパワー半導体とMEMSデバイスの製造にその利用が進んできたが、これらの用途がこれから一気に増えていくことになりそうだ。というのは、パワートランジスタ(パワーMOSFETやIGBTなど)は、EV(電気自動車)や燃料電池車の普及で、直流から交流を作り出すインバータや、その逆の回生ブレーキ用のオンボードチャージャー、さらにDC-DCコンバータ(電源用IC)、バッテリーセルを1個ずつ各充電状態を管理するBMS(バッテリー管理システム)などに必要だからである。EV1台でこれらの回路に大量のパワートランジスタが必要になる。

SEMIによると、自動車用の生産能力はパワートランジスタが2021年から2025年までに58%成長を遂げると見ており、続くMEMSセンサデバイス用の生産能力は21%成長、ファウンドリの生産能力は20%、アナログICは14%成長になりそうだと見込んでいる。

200mmウェーハプロセスラインの生産能力拡張を地域別にみると、2025年までに中国がトップで66%拡張する。続いて東南アジアが35%、米国11%、欧州と中東が8%増加すると予想している。2022年の200mmウェーハプロセスラインの生産能力のシェアを地域別にみると、中国が21%、台湾11%、日本10%となっている。中国が200mmのパワー半導体生産ラインを66%の拡張し、日本が何も拡張しないということは、日本はパワー半導体でも中国に抜かれることを意味している。

今回、200mmウェーハ処理工場の生産能力の見通しは、SEMIの「200mmFab Outlook to 2025」レポートに基づいている訳だが、ここでは330以上の工場とラインをカバーしている。2022年4月にレポートした時よりも4つの新しいプロジェクトが生まれており、53の工場を75カ所アップデートしているという。

(2022/10/20)
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