日本製半導体製造装置の販売額、過去最高の3400億円を突破
SEAJ(日本半導体製造装置協会)によると8月における日本製半導体製造装置の販売額は、3ヵ月の移動平均で3473億5600万円となった。これは前年同期比で38.5%増、前月比でも8.4%増となり、過去最高の数字を示した。
図1 日本製半導体製造装置の販売額推移
日本製半導体製造装置は、初めて3000億円の大台に達した2021年の5月は、移動平均値で3月単月での駆け込み需要の影響が残り過去最高のピークを迎えたが、その後は2000億円台に戻った。とはいえ徐々に販売額は増加し、2021年12月には再び3000億円台を突破した。その後は3000億円台近くを行き来していたが、7月に過去最高の3200億円を突破、さらに8月には3400億円台を突破という販売額に達した。
ただし、この傾向は今後も続くわけではなさそうだ。というのは、メモリ価格が下落し続けており、在庫が掃けるまでのしばらくの間は、メモリ不況がやってくるからだ。Micronの最近の見通しは、次の四半期(9月2日〜12月1日)は前年同期比45%減と予想している。しかし、在庫が一掃されたら再び上昇曲線に乗るという認識も半導体業界が持つように変わっている。このためSamsungは不況に入っても投資は続けると語っており、投資金額は少し減るかもしれないが、以前とは違い、大きくは減らないようだ。
ロジックやアナログを生産するファウンドリも今の所、投資をさほど減らさない意向のようだ。TSMCは2021年に44.6億ドルを投資し、22年は40〜44億ドルの計画は変えていないと第2四半期の決算報告会で述べている。ただし、40億ドルに近い方という言い方をしているため、少しは減る見込みであろう。ただ、ファウンドリのTSMCもUMCも8月は30%以上の成長を示しており、フェアウンドリ企業はメモリほど売上額を落とさないようだ。
これは過去の歴史からもいえることだ。2017年〜2018年、メモリメーカーは単価の値上がりによって、生産数量をそれほど増やさないのにもかかわらず、営業利益率が40%以上を記録したところが多かった。Samsungは同60%と、明らかにメモリバブルを示していた。しかし2019年は売上額の年成長率が軒並み30%〜40%減以上と大きく凹んだ。その間ファウンドリは、メモリほど大きく成長しないが凹みもしなかった。メモリ事業はIDMが多く、しかも大量生産製品であるから、ユーザの在庫状況に大きく左右されている。
メモリ、ファウンドリとも半導体産業の進化は止まらないことを熟知しており、在庫がなくなれば再び上昇気流に乗る、という認識が半導体業界、製造装置業界共に広がっており、これが常識となりつつある。
参考資料
1. 「日本製半導体製造装置は7月に入り一転、YoY、QoQともプラス成長へ」、セミコンポータル (2022/08/26)