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半導体市場急落の兆し、要注意へ

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このところ、世界半導体市場が黄色信号から赤信号に変わっている。台湾からはTSMCへの注文を減らしたという情報や、メモリ価格が落ち始めているといったニュースが飛び込んでくるようになった。現実にWSTSの4月では、前年同月比がまだ1.12でプラスだが、この比は2月の1.48をピークに、3月1.23、と急落している。2020年12月以来の低い数字だ。

図1 世界半導体販売額の前年同月比と差 出典:WSTSの数字からセミコンポータルがグラフ化

図1 世界半導体販売額の前年同月比と差 出典:WSTSの数字からセミコンポータルがグラフ化


図1は、前年同月における半導体販売額の差(青い棒グラフ)と比(赤い折れ線グラフ)を示したもので、半導体製品市場が急激に落ちている。これほどの急落カーブはここ数年では見られない。もちろんまだ、前年同月比ではプラスとなっているものの、そのプラスの度合いが急激に減少しているのである。

歴史的な経験則から、その年の第1四半期の市場が、その前の前年第4四半期市場よりも伸びるとその年は2桁成長していた。しかし、今年はその経験則が当てはまらないかもしれない。2月、3月、4月と急落したからだ。

半導体市場急落の兆しはメモリ市場の予測からもいえそうだ。TrendForceは、今年前半のDRAM需要が急速に弱まっているが、その価格はまだそれほどでもないと見ている(参考資料1)。ただし、2022年第3四半期のDRAM単価の下落は当初よりも下がっている。これは在庫が増えてきたことに起因すると見ており、これまで安定していたサーバー用DRAMは、3ヵ月前には0〜5%程度の値下がりとみられていたが、直近では5〜10%も落ち込みが予想されている。PC用DRAMは在庫が2ヵ月(60日)以上にも及び、供給体制はスムーズになってきた。やはり当初の予測3〜8%程度の落ち込みから5~10%の落ち込みへと値下がり幅が大きくなっている(表1)。


DRAM Product Price Fluctuation Forecast Rivision, 3Q22 / TrendForce

表1 DRAM単価の値下がり幅 出典:TrendForce


NANDフラッシュの価格も値下がりしている。2021年にNANDフラッシュ需要はピークを迎え、現在は民生用を中心として下落が続いており、第3四半期には2桁パーセントの値下がりになるとDigiTimesは見ている(参考資料2)。

米国では7月1日に、スマートフォンとパソコン用半導体の製造を委託しているAppleとAMD、Nvidiaがチップの生産数量を相次いで引き下げることをTSMCに通知したというニュースが流れている(参考資料3)。このため、TSMCの今年後半の売り上げは低下するだろうと見ている。今年の第1四半期の業績を発表したTSMCは4月に、第1四半期の175.7億ドルから第2四半期は176〜182億ドルという見通しを発表していた。約32.4〜36.9%の伸びである。

第3四半期見通しはまだ発表されていないが、大きく変わるだろうと台湾の主力IT/エレクトロニクス関係のメディアが情報源を明らかにしていないが、伝えていたようだ。大手ユーザーが出荷数量を大幅に引き下げたことで、2022年のTSMCの売り上げは25〜29%成長から、わずか1.9%成長に下がってしまいそうだという。

急降下の要因は、世界的なインフレとロシアのウクライナ侵略戦争による不確定要素だろうと見ている。このため、スマホやテレビ、パソコンなどの買い控えが進むとしている。仮想通貨価格の下落も影響している。Appleは、iPhone 14向けのSoC発注を当初の見込みより10%減らしてTSMCに注文したと見られている。AMDは、今年の第4四半期〜2023年第1四半期に出来上がる7nmと6nmのチップの発注量を2万枚ウェーハ分減らしたという。次世代CPUのZen-4の発注にも影響を与えると見ている。Nvidiaは次世代5nmのRTX 4000シリーズの発注量を減らしたいところだが、TSMCは価格を下げたくないとして攻防が続いているようだ。

参考資料
1. "Suppliers More Willing to Acquiesce on Price, 3Q22 DRAM Pricing Decline Expands to Nearly 10%, ays TrendForce", TrendForce (2022/07/04)
2. "NAND Falsh Price Falls May widen to Double-Digit Levels in 3Q22", DigiTimes (2022/6/20)
3. "Apple, AMD and Nvidia Scale Back hip Orders, TSMC’s 2022 Revenues Could Take a Hit", NotebookCheck (2022/07/01)
4. 「2022年の世界の半導体市場は16%成長の6465億ドル(84兆円)へ」、セミコンポータル (2022/06/10)

(2022/07/05)

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