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2021年のMPUのランキング、4位のAMD、5位台湾のMediaTekが急成長

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マイクロプロセッサの分類にアプリケーションプロセッサ(モバイルプロセッサ)や組み込みプロセッサも含めた汎用マイクロプロセッサの、2021年上位ランキングを米調査会社のIC Insightsが発表した。1位はもちろんIntelだが、徐々に市場シェアを減らしつつある。x86プロセッサのAMDは4位だが、前年比で56%成長とIntelとの差を詰めつつある。

Leading MPU Suppliers ($B) / IC Insights

図1 MPUの上位5社ランキング 出典: IC Insights


IC Insightsは、マイクロプロセッサ(MPU)の範疇として、x86アーキテクチャだけではなく、RISCアーキテクチャも含めているが、専用のSoCやGPU(グラフィックプロセッサ)、AIチップのようなアクセラレータは除外している(参考資料1)。

WSTS(世界半導体市場統計)ではMPUは「マイクロ」という分類をしており、アプリケーションプロセッサや組み込みシステムマイクロプロセッサは「ロジック」に分類されている。しかし昨今、IntelのプロセッサにはGPUを内蔵したSoCもあり、アプリケーションプロセッサとの区別がつかなくなっている。このため、「マイクロ」という分類ではArmのRISCアーキテクチャのマイクロプロセッサは含まれなくなっており、正確な市場を表さなくなっている。むしろIC Insightsのようにアプリケーションプロセッサも含める方がMPUの正しい市場を表しているといえそうだ。

上位5社の内4社は米国企業だが、台湾のMediaTekが5位に食い込んでおり、しかもその成長率は前年比51%と高い。IC Insightsは売上額の数字を公表していないが6位から10位のランキングは公表しており、6位はNvidia、7位Samsung、8位UNISOC、9位HiSilicon、10位NXPとなっている。8位と9位に中国勢が食い込んでいる。10位のNXPは旧Freescaleのマイクロプロセサを含んでいる。ただし、6位から10位までの企業の市場シェアは4.3%しかないという。

IntelとAMDのx86アーキテクチャはWindowsだけではなく、サーバーやGoogleのChromebooks、タブレット、組み込みシステムなどにも搭載されている。この2社以外は、2位のApple、3位Qualcomm、5位MediaTekは全てArmのRISCアーキテクチャを用いている。

MPUの売上額ではトップのIntelが523億ドルだが、同3%しか成長しなかった。2021年の同社のシェアは、50.9%と過半数を維持しているが、2020年は55.7%、2016年は58,4%のシェアから徐々に低下している。一方のAMDは2021年には同56%成長を遂げ92億ドルを売り上げた。2016年に3.3%しかないシェアから、2020年に6.5%、2021年には8.9%シェアに上昇している。AMDはさらにパソコンからサーバー領域にまで踏み出しており、元々ゲーム用GPUチップも生産しているため、サーバーシステム用にも数値計算に欠かせない積和演算専用のプロセッサであるGPUは威力を発揮する。

IC Insightsが見積もったマイクロプロセッサは、2020年に16%成長、2021年には13%成長し、2022年には12%成長の1148億ドル市場に拡大すると予測している。これは単価の上昇による2桁成長が続くと見ている。マイクロプロセッサの出荷数量は2020年に5%成長し、2021年に6%成長し、2022年にはさらに3%すると見込んでいるが、平均単価は2020年に10%値上げ、2021年には7%値上げに続き、2022年も8%値上げされるとして、今年の販売額を見積もっている。

参考資料
1. "Top Five MPU Suppliers Expand Share of Sales to 86% in 2021", IC Insights (2022/06/29)

(2022/07/01)

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