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笛吹けど踊らず、中国でのIC生産が全く遅れている

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中国の半導体IC市場(ICを使って電子機器を作る産業)は2021年に1870億ドルだったが、国内のIC生産は16.7%の312億ドルに留まることがわかった。これは定点観測を続けているIC Insightsの調査からわかった。中国共産党政府が半導体の振興を呼び掛けても産業としてなかなか立ち上がらないことを示している。笛吹けど踊らず状態だ。

China IC Market vs. China IC Production Trends / IC Insights

図1 中国のIC市場と中国内でのIC生産の推移 出典: IC Insights


中国政府は、「中国製造2025」プロジェクトを推進しており、2025年まで中国市場の70%を中国製半導体にすることを目標に掲げてきたが、遅々として進んでいない。2012年の12.7%から9年後の2021年でも16.7%にしか増えていない。

中国生産がこれから毎年0.9%ポイントずつ伸びるという楽観的な想定をしても2026年でさえ、21.2%にしか増えないことをIC Insightsが指摘している。この甘い想定は2026年までの世界半導体成長率CAGR8.0%よりも高い13.3%成長に相当する。つまり製造2025の目標である70%シェアは絶望的な数字である。

しかも中国生産における312億ドルという数字でさえ、中国国内で生産する台湾TSMCやUMC、韓国Samsung、SK Hynixなど外国勢の工場での生産額も含めている。外国企業の生産の方が圧倒的に多く、中国に本社を持つ中国資本の企業の生産分は、そのうちの39.4%の123億ドルしかない。これは、21年の中国市場の1865億ドルのわずか6.6%にすぎない。

また、中国地場の半導体ICメーカーの生産分123億ドルの内、IDMは27億ドルしかなく、96億ドルがSMICなどのファウンドリである。ファウンドリはブランドを持たない製造請負サービスなので、ファウンドリ生産の全てが中国のファブレス企業向けとは限らない。

たとえ外国企業も含む中国生産が2026年に582億ドルに成長するとしても、メイドインチャイナのIC製品は、26年見通しの世界市場である7177億ドルの8.1%にすぎない。また、中国内のファウンドリ生産が全て中国のファブレス半導体製品だとしても、せいぜい10%程度にしかならない。

参考資料
1. "China-Based IC Production to Represent 21.2% of China IC Market in 2026", IC Insights (2022/05/18)

(2022/05/20)

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