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ガートナーが見る今年と2026年までの半導体市場

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Gartnerは、2022年の世界半導体市場は13.6%増の6760億ドルに達するという予測を立てた。2021年に世界の半導体市場は初めて5000億ドルを突破して5950億ドルに到達したばかりで、早くも6000億ドルを突破し、2023年には7000億ドル超えになる見通しだという。

2022年以降の半導体市場見通し / Gartner

図1 今年の世界半導体市場は6760億ドルへ 出典:Gartner


図1を見る限り、半導体市場として最も大きいコンピュータとワイヤレスは今年も伸びるが、その伸び率はやや鈍化している。それでもワイヤレス(スマートフォン用半導体など)は今年15.2%の伸びを示して1665億ドルという過去最高の市場規模を示す(図2)。ワイヤレスと並んでコンピュータ市場も大きいが、データセンターとPC&ウルトラモバイル部門に分けるとデータセンターが21.1%増の928億ドルを示すが、PC&ウルトラモバイル部門は2.0%の伸びで845億ドルに留まる。

成長率が最も大きい分野は自動車であり、600億ドルを突破するが、車載用半導体と一口に言っても成長している分野は、自動車のHPCと言われる車載用高性能コンピュータ分野と、EV/HEV(電動車/ハイブリッド車)分野、自動運転を目指すADAS分野の三つだけである。昔からあるパワーウィンドウやワイパー、ウィンカーなどの制御用はほとんどが半導体になってしまったため、これ以上の成長はさほど期待できない。自動車用HPCは今年立ち上がりが予想され、市場規模は5億ドルだが成長率は546.3%にもなる。EV/HEVは42.9%増の104億ドル、ADASは146億ドルにも達すると見ている。


成長をけん引するエンド市場: PCやスマホから、自動車、データセンター、産業、ウェアラブルなどへ需要が移行 / Gartner

図2 成長する半導体の最終市場と2026年までの成長率 出典:Gartner


自動車用のHPCが大きく伸びるという予想は、すでにTeslaが自動運転を目指した集中制御を行っており、しかも無線でソフトウエアの自動更新を行うOTA(Over the air)技術も使っているため、そろそろ市場が立ち上がるだろうという考えに基づく。自動車用HPCとは、クルマのECUで言えば、車外のワイヤレス通信で最初に入ってくるゲートウェイがこれに相当する。

Gartnerは2026年までの成長予測も行っている。それによると最も大きな成長率(CAGR)を示すのは自動車用HPC用で、年平均163.1%成長と見ている。26年時点で106億ドルに達すると期待する。その次はEV/HEVの23.8%成長、ADASの22.6%成長としている。半導体全体としては5.8%成長で26年には7904億ドルとなり、100兆円が見えてくる。

半導体不足に関しては、半導体商社の在庫状況を見る限り、2020年第4四半期に40日と底を打ち、以来、在庫日数は増え続けている。供給は改善方向にある。しかし、中国におけるロックダウンにより部品供給が止まり、供給網にとってはリスクになっている。

Gartnerは今回の予想は2022年6月までの見込みであり、その先は変わる可能性がある。

(2022/05/18)

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