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2021年のファブレス半導体トップテンランキング、2位にNvidiaが急浮上

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2021年のファブレス半導体トップテンランキングが発表された。これは台湾系市場調査会社のTrendForceが発表したもの。上位10社はファウンドリビジネスよりも大きな1274億ドル(約15.2兆円)に達し、前年比48%成長した。上位10社は米国と台湾の企業のみ。1位は昨年に続きQualcommだが、2位にはNvidiaが61%成長で上ってきた。

Table 1: Global Top 10 IC Design Company Revenue, 2021 / TrendForce

表1 TrendForceが発表したファブレス半導体ランキング 出典:TrendForce


トップのQualcommは、特許収入部門QTL(Qualcomm Technology Licensing)を除くQCT(Qualcomm CDMA Technologies)部門というファブレス半導体事業部門の収入だけを計算に入れている。Qualcommの携帯電話SoC部門とIoTチップの売上額は、それぞれ前年比で51%、63%成長した。またRFと車載向け半導体も加えることで平均51%成長となった。

2位のNvidiaは、ゲーム用グラフィックスカード(ボード)とデータセンター向けのチップがそれぞれ同64%、同59%成長を遂げたように、広範囲なコンピュータプラットフォームを作製するためのハードウエアとソフトウエアを融合させている。平均で61%成長となった。3位のBroadcomはネットワークとブロードバンド通信チップ、ストレージやブリッジ用のチップで18%成長したものの、他社の成長率の方が高く3位になった。

第4位のMediaTekは5Gスマートフォン向けのSoCで同93%と大きく成長し、会社全体の収益を61%成長と大きく上げた。5位のAMDは、68%成長と大きく伸ばした。Ryzen CPUなどのコンピュータチップとRadeon GPUなどのグラフィックスチップが同45%増と伸びたが、さらに企業向けと組み込み向け、セミカスタムICが113%増とさらに大きく伸ばしたことで全社売上額68%増の164.3億ドルに成長した。

今回は台湾勢が大きく伸ばし、MediaTekだけではないことを示した。昨年の8位から6位へ進展したNovatekは、SoCとディスプレイドライバICを大きく伸ばし、製品仕様を改善したことで前年比79%増の48.4億ドルになった。79%成長は上位10社の中で最も高い伸び。Realtekは、通信ネットワーク製品やノートPCの強い需要で伸ばし、43%成長の37.7億ドルを達成した。初めて10位に入ったHimaxは、大画面液晶用ドライバICと中小画面のドライバICがそれぞれ65%増、87%増と成長し、総額で74%成長の15.5億ドルとなった。特に、自動車向けの液晶パネル市場で成功したことが大きいようだ。

昨年10位だったDialog Semiconductorはルネサスエレクトロニクスに買収されたため、もはやファブレスの範疇には入らない。

2022年の見通しとして、AMDはXilinxを買収すると、単純計算で2021年はMediaTekを抜くため、もっと成長することは間違いなさそうだ。全般的に2022年は、スーパーコンピュータのようなHPC(高性能コンピューティング)や高速転送、ネットワーク、サーバー、車載、産業向けなどの製品が成長するとTrendForceは予測している。ただし、微細化技術によるファウンドリコストの上昇や、地域紛争、インフレ増加などが経済成長の妨げになりそうだ。

参考資料
1. "Amid Rising Volume and Pricing, Top 10 IC Design Companies Post 2021 Revenue Topping US$100 Billion", TrendForce (2022/03/24)

(2022/03/29)

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