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2021年の世界半導体トップテンランキング、AMDは驚異の64%成長

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2021年の世界半導体メーカーのトップテンランキングでは、1位Samsung、2位Intelとなった。2017年、18年にもSamsungが1位になったが、メモリバブルで一時的だった。しかし、今回はIntelの成長が止まり、文字通り半導体の盟主となった。3位、4位ともメモリメーカーで、1〜4位は大量生産型メーカーが上位を占めた。これはGartnerが発表したもの(参考資料1)。

Table 1. Top 10 Semiconductor Vendors by Revenue, Worldwide, 2021 (Millions of U.S. Dollars) / Gartner

表1 2021年世界半導体トップテンランキング 出典: Gartner


ファブレス半導体は、8位のTIを除き、5位から10位までを占めた。最も成長率が高い企業は、女性トップのLisa Sue CEOが率いるAMDであり、その年成長率は64.4%と非常に大きい。AMDがIntelを食った、といえそうで、パソコンだけではなく、データセンター市場においても大きく伸ばしたほか、GPUも持っているためゲーム市場でも伸ばした。

半導体全体の売上額は前年比25.1%増の5835億ドルとなり、66.5兆円になった。70兆円は目前である。5000億ドルを突破したのは2021年が初めてで、半導体市場の伸びは他の産業と比べ極めて著しい。トップ10社の合計売上額は全体の55.9%、残りが44.1%となっている。2021年は車載用を中心に半導体の供給不足が続き、ASP(平均単価)が少し上がり、売上額が伸びた。

AMDの次に大きく伸びたのは、台湾MediaTekの58.8%成長、米Qualcommの52.3%、Nvidiaの52.7%などがある。Nvidiaはゲーム機とAI関係の需要で大きく成長した。MediaTekとQualcommは5G通信スマートフォン用半導体で大きく伸ばした。逆に米国政府の制裁を受けた華為科技の半導体子会社であるHiSiliconの売上額は2020年の82億ドルから2021年は10億ドルへと一気に減少した。

メモリも大きく伸び、2020年から421億ドル増えた。特に、DRAMは前年比40.4%増の925億ドルに達した。パソコンやサーバー需要が旺盛で、ASPは2桁伸びたとGartnerは見ている。メモリの販売額は2021年の半導体製品全体の33.8%を占めている。

Gartnerは、IDM(設計と製造をカバーする垂直統合企業)にせよ、ファブレスにせよ、半導体製品の売り上げが立つ半導体メーカーだけを集めているため、この表にはTSMCやUMCのようなファウンドリは含まれていない。ファウンドリを除く半導体メーカーを単純に足せば、半導体市場が求められるからだ。ファウンドリの売上額は、ファブレスやIDMにとってはコストとみなされるため、ファウンドリの売上額を足してしまうとダブルカウントになってしまう。一方、同じ市場調査会社でもIC Insightsのランキングではファウンドリも含めているが、それは半導体製造装置業界や材料業界からは半導体製造の市場規模を知るというメリットがあるから含めている。

ファブレス/ファウンドリの水平分業か、IDMの垂直統合か、という議論がよくあったが、大量生産のメモリはIDM、少量多品種の製品は水平分業、といえそうだ。メモリの設計はロジックと比べると単純であり、設計の負担は少ないため、垂直統合で一気に製造まで持っていける。しかし、大量生産品ではない半導体を製造する工場では、月産数十個以上でないとペイできない、という発想になりがちで、工場コストが重荷になっていた。ファウンドリだと、さまざまな企業の半導体製品を製造できるため工場ラインが空くことはなくなり、成長できた。

参考資料
1. "Gartner Says Worldwide Semiconductor Revenue Grew 25.1% in 2021, Exceeding $500 Billion For the First Time", Gartner (2022/01/19)

(2022/01/20)

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