Semiconductor Portal

» セミコンポータルによる分析 » 市場分析

当分半導体不足解消はない! ASMLの光学部品工場が火事に

世界の半導体不足は依然として解決されていない。最近では、すでに半導体ユーザーの在庫は確保され、半導体不足は一服するだろうという予測が出てきていた。しかしこの予測を裏切って2021年11月の世界半導体出荷額は再び急上昇し始めた。2022年1月3日に米半導体工業会(SIA)が発表した11月の3カ月平均は前年同月比23.5%増の497億ドルを記録した(参考資料1)。

世界半導体販売額の前年同月差/比 WSTSの数字データを元にセミコンポータルが算出

図1 世界の半導体販売額の前年差と前年比 出典:WSTSの数字データを元にセミコンポータルが算出


1年前の2020年11月は半導体不足が表面化し、半導体メーカーがフル生産し始めたころである。それよりも23.5%多い販売額になっている。SIAが発表した数字は3ヵ月の移動平均値だが、9月と10月の世界半導体の販売額が既知であるため、3カ月の移動平均値から11月の単月の数字を見積もることができる。それを算出すると、11月は単独で520億ドルになり、前年との差と比は大きく増えていることになる。

この数字をグラフ化しても、ピーク値が下がってきている訳ではなく、やはり半導体不足はまだ解消されていないと言えそうだ。2021年7月と8月の31%増から9月21%増、10月20%増と、その伸び率が下がってきつつあったが、11月にふたたび30%増、と盛り返してきたからだ。半導体需給は従来の在庫状況だけで見る限り、半導体ユーザーの在庫が確保され供給不足は解消されてきているという予測は出始めているが、そうとは言えない状況になっている。

加えて、市場調査会社TrendForceによると、オランダのASMLがドイツのベルリン工場で火災を起こした(参考資料2)。3万2000平方メートルのクリーンルームの内の200平方メートルが燃えたという。この工場はEUVおよびDUVリソグラフィ装置に使われる光学系の部品を生産している工場で、ウェーハテーブルやレチクルチャック、ミラーブロックなどの部品だという。フォトマスクを固定するためのレチクルチャックが供給不足であり、この工場では特にEUV向けの部品が増えているとしている。

EUVは、微細化が進むファウンドリだけではなく、メモリ(DRAM)でも使われるようになっている。TSMCのようなファンドリが7nmノードから使い始め、5nmノードで使いこなしている。DRAMでも15nm前後のノードである1Z nmおよび1α nmプロセスからSamsungとSK Hynixが使っており、さらにMicronも2024年から導入する1γ nmプロセスから使うようだ。

先端プロセスで使われるEUVのリードタイムは、12〜18ヵ月ということで、今後の最先端半導体チップ製造では特にスマートフォン用のプロセッサやデータセンター向けコンピュータチップSoC、さらにはDDR5 DRAMなど最先端の半導体チップは、これまでよりもさらに遅れる可能性が高まることになる。

参考資料
1. "Global Semiconductor Sales Increase 23.5% Year-to-Year in November; Industry Establishes Annual Record for Number of Semiconductors Sold", SIA Latest News (2022/01/03)
2. "Fire at ASML’s Berlin Plant May Impact EUV Optical Component Supply, Says TrendForce", TrendForce Press Release (2022/01/05)

(2022/01/06)
ご意見・ご感想