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半導体ICの成長率を年初に推しあてる手法をIC Insightsが公開

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年初にその年の半導体IC成長率を予測する新しい手法を米IC Insightsが公開した。これまで半導体の景気を予測する手法は市場調査会社各社によってバラバラであり、根拠については明らかにされないことが多かった。これに対して、IC Insightsが示した手法は定量的な成長率から割り出すもの。その手法について解説する。

未来を完全に予測することはできないが、手法としてはいくつかある。例えばバックキャスト法は、10年後の姿を自分で描き、それを現在まで戻り(バック)ながら、7年後、5年後、3年後、来年、という具合に予測そのものを描いていく手法である。10年後の姿が間違っていれば、ほとんど当てにならない。

今回IC Insightsが公開した手法は、その年の第1四半期のIC市場規模(全売上額)とその前年の第4四半期のそれとを割り算した比から、その年全体を予想しようというもの。これは半導体産業だけに当てはまる手法だが、一般に第4四半期(4Q)はクリスマス商戦の影響でスマートフォンやタブレット、テレビ、パソコンなど消費者向け製品が大いに売れる時期であり、金額そのものはその年で最も大きい。このため、通常は次の年の第1四半期(1Q)の売上額は落ちることがこれまでは多かった。1984年から2020年までの1Q/4Q比は平均で-2%であるが、全体的にこの-2%という数字でさえ、半導体市場は259.56億ドルから4403.89億ドルへと約17倍も成長したのである。

ところが、2021年は第1四半期でも前年の第4四半期の売上額よりも3%も高かった。案の定、今年の半導体市場は大きく成長しそうなことがはっきりしてきた。そこで同社は、売上額の1Q/4Q比を過去からトレースしてみた。図1には、1Q/4Q比とその年の市場規模を同時に掲載しているが、相関があるように見える。ここで赤い点とラインが1Q/4Q比、水色の点とラインがその年の成長率を表している。ただし、2022年は予測見積もりである。


1Q/4Q IC Market DirectionIndicator / IC Insights

図1 半導体IC市場の予測を示す指標としての1Q/4Q比 出典: IC Insights


ここでの1Q/4Q比はそのまま年成長率ではないが、過去からの相関を示している。例えば2017年は1Q17/4Q16比が0%で、その年は25%成長した。ただ、あくまでも1Q/4Q比と成長率は前年との比較であり、その傾向がわかるという指標であるとしている。つまりパーセントの絶対値ではなく、前年との相対値であって、前年からの傾向がわかるというものだ。これらの数字の中で大きく外れたのは、1985年と2001年の大きな不況の年であった。

このことを踏まえておけば、前年と比べて今年はプラス成長かマイナス成長かどうかの判断にはなる。ただし、年によってその絶対値はバラついているので、注意が必要だ。

直近では、1Q20/4Q19比は-3%を示したが、2020年全体では13%成長を果たした。1Q21/4Q20比は3%だったため、2021年全体では26%成長が確実になっている。これまでも、1984年からのデータを見る限り、1Q/4Q比がプラスになった年は38年間の内、16年もある。

では来年はどうか。今の所、1Q22/4Q21比は-3%と見積もられているため、今年の成長率26%よりは低くなり、同社では11%成長程度と見ている。半導体産業は全体で成長し続けているため、少なくとも1Q/4Q比がプラスであれば、その年がプラス成長することは間違いなさそうだ。

(2021/12/10)

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