ファブレスのトップテンランキング、上位10社が60.8%成長

図1　2021年第2四半期におけるファブレス半導体ランキング　出典： TrendForce

トップ10社の驚異的な成長は、半導体不足の観点から単価が値上げされ、売上額が増えた結果である。順位が大きく変化したのは、Broadcomだけではない。7位のMarvellはInphiの買収が完了したことで21年第1四半期での9位から上がった。6位の台湾Novatekも96%増の12.19億ドルを売り上げ、8位から2つ順位を上げた。トップ10社の内、米国が6社、台湾がMediaTek、Novatek、Realtekの3社、英国Dialog（現ルネサスエレクトロニクス）1社となった。

1位のQualcommが飛躍的に伸びたのは、5GスマートフォンのチップセットとIoT部門のおかげ。特に5Gを含むスマホ全体では最も低い57%増の38.63億ドルだが、RFフロントエンドが2倍以上の9.57億ドル、車載向けが83%増の2.53億ドル、そしてIoT向けが83%増の13.99億ドルを売り上げた（参考資料2）。スマホだけに頼らないQualcommの戦略が奏功した。ただ、RFフロントエンドは5Gのミリ波用に欠かせないため、ここでも2倍以上の114%増となっている。全社としては70%増の64.72億ドルとなった。

2位のNvidiaは、ゲーム用のグラフィックスカードが91.1%増、データセンターソリューションが46%増となっており、全社的には68.8%増の58.43億ドルとなった。NvidiaのGPU（グラフィックプロセッサ）は行列演算やMAC（積和）演算に向いた構成をしているため暗号資産の解読にも、数値演算を利用するゲーム用のグラフィックカードが使われている。

Broadcomは、超高速Ethernetスイッチ製品に強く、データセンターや5Gコア基地局向けに強い。5Gスマホでは新しいWi-Fi規格であるWi-Fi 6EチップでもBroadcom製品が使われている。このため堅調に19.2%増の49.54億ドルを売り上げたものの、3位になった。

4位のMediaTekは5GスマホとIoTで伸ばし、ほぼ2倍の98.8%増となる44.89億ドルとなった。同社は台湾元ベースの財務結果を発表しているが（参考資料3）、それによると売上額は1256.53億台湾元であり、その伸びは85.9%増となっている。台湾元は米国ドルに対して元高になっており、米ドルベースで表すと高めに出て、44.89億ドルとしている。MediaTekは研究開発費として売上額の18%を使っており、その投資分が成長に生きている。

5位のAMDもほぼ2倍にあたる99.3%増の38.5億ドルとなった。成長を遂げた要因は、ゲームコンソール機用GPUと、企業向けの組み込みセミカスタムソリューション、そしてAMDサーバー向けCPUが大きく寄与した。特にサーバー用CPUビジネスはIntelの牙城に食い込み、183%増という記録的な成長を遂げた。

参考資料
1. "Revenue of Top 10 IC Design (Fabless) Companies Reaches US$29.8 Billion for 2Q21, Though Growth May Potentially Slow in 2H21, Says TrendForce", TrendForce (2021/09/15)
2. "Qualcomm Announces Third Quarter Fiscal 2021 Results GAAP Revenues $8.1 billion GAAP EPS $1.77, Non-GAAP EPS $1.92", Qualcomm (2021/07/28)
3. "MediaTek Inc. Reports Second-Quarter Consolidated Results", MediaTek (2021/07/27)
4. 「台湾ファブレス急伸、直近の世界ファブレストップ10ランキング」、セミコンポータル (2021/06/11)