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日本の半導体ICの市場シェアはついに6%に低下

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2020年における世界半導体IC市場のシェアを米調査会社のIC Insightsが発表した。それによると、日本製IC製品の市場シェアは6%にまで下がっている(図1)。地域別の市場シェアは、1位の米国55%は揺らぎないが、2位韓国21%、3位台湾7%、欧州6%、日本6%、中国5%となっている。ランキングではファウンドリを除外している。

2020 Worldwide IC Company Marketshare by Headquarters Location

図1 2020年世界半導体IC企業の市場シェア 出典:IC Insights


この調査は半導体メーカーの本社のある地域を対象としている。台湾はTSMCに象徴されるファウンドリに強い地域だと思われがちだが、ファブレスでも強い。ファブレス半導体では、台湾は1位の米国64%に次ぐ2位に18%シェアで位置している。3位は中国の15%となっている。残念ながら日本は、ファブレスに全く弱く1%しかなく、強かったIDM(設計から製造までを手掛ける半導体メーカー)でさえ、米国、韓国、欧州に次ぐ4位となっている。

韓国も日本もファブレスが弱く、台湾と中国はIDMが弱い。結局、米国がIDM、ファブレス、共にバランスよい地域となっている。ただし、ここでは反映されていないが、製造能力という点では米国は低く、バイデン政権は米国半導体製造の復権に500億ドルの予算を議会に提出している。

問題はやはり日本であり、半導体ICの市場シェアは6%にまで落ちている。1990年には世界の半分近い49%のシェアを持っていた日本半導体の凋落が激しさを増している(図2)。特にこの10年間は17%から6%へ急落している。


IC Sales Marketshare by Company Headquarters Location

図2 1990年から2020年までの世界各地の半導体市場シェア 出典:IC Insights


欧州も日本と同様、ICのシェアは6%だが、欧州で最もファブレス半導体の多い英国では、優秀な企業ほど続々と米国企業に買収されている。かつて英国特集で紹介したファブレスのスタートアップ企業でBluetoothの先駆者CSR社は米Qualcommに買収され、小さな面積でベースバンドチップを設計したIcera社は米Nvidiaに買収された。その他、オーディオチップに強いWolfson社は米Cirrus Logicに、ディスプレイのインターフェイスに強いDisplayLinkは米Synaptics社に、CPUコアのArmは日本のソフトバンクにそれぞれ買収された。以上、欧州の半導体ベンチャーは米国企業に買収された例が多い。

(2021/04/14)

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