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シリコンウェーハの出荷面積は5%増加するも売り上げは横ばい

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2020年におけるシリコンウェーハの出荷面積は、前年比5%増の124億700万平方インチになった、とSEMIが発表した。昨年よりは少し増えたが、2018年のメモリバブル時の面積にはまだ達していない。また、シリコンウェーハの売上額は112億ドルでほぼ横ばいだった(参考資料1)。SEMIによると300mmウェーハの需要が順調に推移していたとしている。

図1 シリコンウェーハの出荷面積の推移

図1 シリコンウェーハの出荷面積の推移


2020年におけるシリコンウェーハの出荷面積は、第1四半期を底として第2四半期から急速に回復してきている。12月には車載半導体不足が表面化してきた。むしろ第1四半期での落ち込みを吸収するような勢いだからこそ、昨年よりもウェーハの総面積が増えたといえよう。

シリコンウェーハ面積はほぼ半導体ICの出荷数量そのものを表していると言ってよいだろう。もちろん、ウェーハ面積が拡大しても歩留まりが悪ければICの出荷個数は増えないわけだが、今年の半導体企業やファウンドリの業績を見る限り、収支は悪くないため、歩留まりは順調に上がった数字であろうと推察できる。

ただし、懸念材料はウェーハの単価である。面積が5%上がったのにもかかわらずウェーハの売り上げが昨年と同じ112億ドルのままだ。2012年から2016年ごろまでの面積が大きくなるものの売り上げがむしろ減ってきた、という酷な状態よりはマシだが、面積の増大と売り上げの増大もリンクしていくべき商品であろう。

シリコンウェーハの価値をICメーカーに認めてもらうように説得すべきであり、そのためには結晶成長エンジニアも営業担当者と同行して価値を説明するしかあるまい。同じことがICメーカーにも言える。IC回路の価値を熟知したエンジニアが営業担当者と共に価値をユーザーに説明すべきだろう。現に海外半導体企業でしっかりした利益を確保している所は、ユーザーの作るモジュールやサブシステムのコストパフォーマンスが高くなるというICの価値をしっかり伝えている。このため安易にICの単価を下げなくても売れる。日本の営業も自社の持つ価値をユーザーにしっかり伝える訓練が必要になる。

参考資料
1. Siウェーハの出荷面積は7%減少したものの、単価は上昇した (2020/02/07)
2. 2020年のSiウェーハ出荷面積は史上2番目の大きさに、SEMI発表 (2020/10/15)

(2021/02/05)

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