半導体製造装置は2020年も二桁成長で7兆円強市場へ
2020年の半導体製造装置販売額は前年比15.6%増の689億ドル(7兆2300億円)になりそうだ、とSEMIが発表した。これは、SEMICON Japan開催前日の記者会見の場で、SEMIのDirectorであるClark Tseng氏が発表したもの。地域別では中国の181億ドルがもっとも大きいが、これは2020年前半に装置を大量購入したことによる。9月15日以降は購入しにくくなっているからだ。
図1 2020年の世界の半導体製造装置市場 地域別に購入金額を示している 出典:SEMI
中国における製造装置は2021年以降、その購入金額が減少すると見られている。特にSMICへは、米国製製造装置の輸出がほぼできなくなっているからだ。ただし、中国の半導体工場の約7割が外資系であるからTSMC ChinaやSamsungの中国工場などへ装置は出荷されることになる。SMICは装置を輸入できないため、中国内で設計・製造された装置を調達することになる。
中国の次に大きな購入金額は台湾の168億ドルで、ファウンドリビジネスが好調だからである。2020年の第4四半期のファウンドリビジネスは、1位のTSMCをはじめとして上位10社が前年比18%増の217億ドルとなっており(参考資料1)、2020年全体では20%以上の成長率となるとSEMIのTseng氏は見ている。2020年はファウンドリが半導体製造装置市場をけん引していると見てよいだろう。
半導体製造装置の中でもウェーハ処理を行う前工程の製造装置が最も大きく、これまでメモリバブルに浮かれた2018年のピークを越えて594億ドルになるとSEMIは見ている。21年、22年もそれぞれ4%、6%で成長するとしており、やはりメモリとファウンドリとロジックがけん引していくと予想している。
テストとアセンブリ装置の後工程も当然、成長する。特に2020年のテスト装置は前年比20%増の60億ドルに成長する見込みで、やはり2018年のメモリバブルを超えると見込まれており、21年、22年も成長は続く。アセンブリとパッケージング装置は、20年20%、21年8%と成長するが、メモリバブル期を超えてはいない。けん引する半導体応用は5Gセルラー通信とスーパーコンピュータやデータセンターなどのHPC(High Performance Computing)分野で、クラウドへの移行がハイエンドコンピュータをけん引している。
半導体製造装置全体では2021年に前年比4.4%増の719億ドルが予想されており、22年には同5.7%増の760億ドルと半導体製造装置の成長が続くと見られている。
図2 半導体製造に使われる材料の市場見込み 出典:SEMI
半導体製造に必要なシリコン結晶や、フォトマスク、化学薬品、フォトレジスト、その他消耗材など、半導体材料市場も成長が続き、2020年は同2%成長の540億ドルに達する見込みで、21年にはさらに5%成長で560億ドルが見込まれている。
参考資料
1. 最新ファウンドリ企業ランキング、TSMCシェアを55%に拡大、UMCは3位へ浮上 (2020/12/11)
2. 半導体製造装置市場、20年は6%成長、21年は700億ドル突破へ (2020/07/22)