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2007年、半導体市場は景気後退サイクルへ

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ジェイスター2007〜2010年世界半導体市場予測

 2007 年半導体市場が軟化と過剰在庫とともに、電子機器の大量消費地域がBRICs、ネクスト11 など新興市場などに移り、2006 年にピークアウトし、すでに世界半導体は景気後退に入ったとの予測が、ジェイスターから発表された。

 Semiconductor International Capacity Statistics(SICAS:世界半導体生産キャパシティ統計)による生産ラインの稼働率は、MOS IC 生産ラインが対前年同期比5.4 ポイント減の87.2%、バイポーラIC 生産ラインが同5.4 ポイント減の86.4%となった。ジェイスターでは、2007 年世界半導体ファウンドリ市場の売上高も半導体チップの在庫調整を背景に、ファウンドリ企業の売上高が減少傾向にあると見ている。

 同社が、昨年予測した通り、世界半導体市場は2006 年第3 四半期より「晴天乱気流」の状況に入り、通常の季節要因とは異なった兆候も現れ始めている。過去の事象から分析するとMicrosoft 社より新OS がリリースされた場合、PC からDRAM と連動する牽引型サプライチェーンであったが、今回のWindows Vista OS は市場の牽引力の力強さは見受けられない。消費者市場を意識した新OS であったが一般消費者も慎重に状況を見極めている。DRAM が2007 年1月に入り、一時的にPC 市場を牽引した形になったが、単価は既に30%程度下落している。NAND型フラッシュメモリ価格は、一時的に下げ止まっているが、第3 四半期以降急速に下落し、年間の単価下落率は最大50%以上になる可能性もある。

 アナログチップやDRAM、FPGA、NAND 型フラッシュメモリといった半導体に対する需要が低迷している。携帯電話、アナログ半導体企業の決算も下方修正に向かっている。ジェイスターでチーフコンサルタントを務める小松道也は、「2007 年はMOS マイクロ、MOSメモリ(DRAM、フラッシュメモリ)などの半導体のASP(平均販売単価)の下落が引き続き進むと思われ、全半導体売上高ベースの成長率は鈍化するだろう。」と語る。同社代表である豊崎禎久氏は「半導体産業は1980 年台のような2 桁台の高度成長時代は終わり、成熟期に入っている。半導体産業としてはまだ十分魅力的であるが、日本半導体企業は、今後20 年間確実に成長が約束されているエネルギー&センシング分野も見据えた経営改革も迫られている。」と見ている。

 図1 は、ジェイスターが示す世界半導体産業の今後10 年のシナリオである。

世界半導体産業今後10 年のシナリオ

 図2 は、ジェイスターの最新世界半導体市場予測である。半導体売上高を牽引する電子機器生産による売上高は、大量消費地域は新興市場であるBRICs やネクスト11 に移り、低価格機種に展開により売上高の伸び鈍化してきている。これと連動し、収益面でも半導体企業を圧迫し始めており、欧米半導体企業を中心に、低価格機種むけのローコスト・ソリューションの事業展開を開始している。

世界半導体市場予測

 ジェイスターの予測によると2007 年世界半導体売上高は、2006 年のWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS:世界半導体市場統計)実績2477 億米ドルに対して、5.1 パーセント増の2603 億米ドルになると見ている。


参照資料:ジェイスター株式会社 プレスリリース

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