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直近の世界ファブレス半導体ランキング、Qualcommがトップに返り咲き

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直近(2020年第1四半期)の世界ファブレス半導体の上位ランキングをTrendForceが発表した(参考資料1)。これによると、第1位はQualcommが返り咲き、2位Broadcom、3位Nvidia、4位MediaTekと続く。TrendForceは、台湾ベースの半導体に強い市場調査会社。

表1 世界のファブレストップランキング 出典:TrendForce

Table: 1Q20 Revenue Ranking of Top 10 IC Design Companies (Unit: Million USD)


Qualcommはこのところ6四半期連続売り上げを落としてきた。携帯電話やスマートフォン市場向けのアプリケーションプロセッサ(APU)やモデムが中国のHiSiliconにLTEで押されてきたからだ。この2020年第1四半期になってようやく5Gの採用が始まり、それに向けたモデムやAPUでは断然トップのQualcommが息を吹き返したという訳だ。5Gのデジタル変調は256QAM以上のOFDMを使った高密度なコンスタレーションが高速データレートに欠かせないが、Qualcommがトップに立っている。新型コロナウイルス対策の一環でテレワークやe-ラーニング需要などの恩恵を受けたためだ。

昨年のトップから2位に転落したBroadcomは、米中貿易戦争の影響をまともに受け、5四半期連続マイナスとなった。中国でのスマホやAppleのiPhone需要が冷え切っていたという事情もある。

台湾のMediaTekも4Gセルラー通信向けのデジタルモデムやAPUでシェアを伸ばしてきたが、それ以上にテレワーク需要で売上額を増やした。

トップ10社の中で伸び率の最も大きい米国2社、すなわちNvidiaとAMDは、前年同期比それぞれ39.6%増、40.4%増、と大きく伸ばした。Nvidiaはゲーム用PC(eスポーツなど)のグラフィックスカードやデータセンター需要で大きく伸びた。AMDは7nmプロセスのCPUが売れ、新型コロナウイルスによるテレワークのパソコン需要で大きく伸ばした。

Broadcom同様、米中貿易戦争の影響をまともに受けたのはXilinxだった。同社は前年同期比8.7%減の7億5600万ドルに留まった。

2020年第2四半期の見通しもやはり米中貿易戦争の影響を受ける企業と、新型コロナによる新規テレワーク需要を受ける企業とに分裂しそうだ。この表1では、中国HiSiliconが入っていないが、生産数量のほとんどが華為向けであり一般市場での売り上げが少ないため、加えていない可能性がある。

参考資料
1. Qualcomm Retakes Market Leadership in 1Q20 Revenue Ranking of Global Top 10 IC Design Companies, Says TrendForce (2020/06/10)

(2020/06/11)

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