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シリコンウェーハ出荷面積が下げ止まった

シリコンウェーハの出荷面積が2018年第4四半期からずっと減り続けていたが、2020年第1四半期になり、ようやく減少が止まった(図1)。20年第1四半期に出荷されたシリコン面積は前四半期比で2.67%増の29億2000万平方インチとなった。

図1 出荷されたシリコンウェーハの面積 単位は百万平方インチ。出典:SEMIの発表データを元にセミコンポータルが加工

図1 出荷されたシリコンウェーハの面積 単位は百万平方インチ
出典:SEMIの発表データを元にセミコンポータルが加工


2019年は、2017年〜18年の反動により、特にメモリ在庫を掃き出すために時間がかかった。シリコンウェーハ出荷面積が増えたということは、半導体製品の需要が上がり始めたか、歩留まりが世界的に下がったか、のいずれかだが後者は考えにくい。そのような情報もない。需要が上がり始めたと考えるのが自然であろう。

現に、SIA(米半導体工業会)が発表したWSTS(世界半導体市場統計)の3月の半導体売上額の移動平均値は、前年同月比6.9%増の349億ドルに達した。2月に比べると0.9%増だが、3カ月の移動平均値であることを考えると、プラスの推移は移動平均値ではなく単独の数字としてはこの平均値よりは大きい。ちなみに3月単月のWSTSの数字は、376億ドルになる。

新型コロナウイルスにより、半導体市場はマイナスになると見られているが、半導体の販売額も数量も増え始めていることから、その影響はまだ出ていないといえる。SIAは、2020年第1四半期の1046億ドルが前四半期比で比べると3.6%減少していることをニュースリリースの見出しにしているが(参考資料1)、これは意味がない。第1四半期の半導体販売額は、クリスマスシーズンで大きく売れる前年の第4四半期よりは落ちるのが通例だからである。つまり季節的要因で落ちているだけであるため、今年の第1四半期を表す言葉としては意味がない。

また、新型コロナの影響は、小売りや飲食業、ライブハウスなど人が集まる業界が真っ先に受けるため、半導体産業はもっと先にならなければわからない。ただ、テレワークが増え通信需要が増えると通信基地局用半導体やその周辺の電源IC、アナログICの需要が増す上に、医療従事者をサポートするための人工呼吸器やPCR検査キットの小型化や、リモート医療などで半導体の需要も増える。さらに、感染者を追跡するための半導体IoTセンサやマイコンチップ、アプリケーションソフトなど需要もこれから出てくる。また、新型コロナで非接触のHMI(ヒューマンマシン・インターフェイス)などの開発も進むと見られている。

消費者のスマホやクルマへの需要は落ちるものの、上記のような新規需要が増えるため、半導体市場ではプラスとマイナスが入り混じることになり、トータルとしてはがくんと下がるほどではなくなりそうだ。コロナ後の新規需要に関しては、SPI Free Webinar「新型コロナウイルスに対して半導体企業は何ができるか」第3弾(注)で5月14日10時から解説する予定である。

注: SPI Free Webinar「新型コロナウイルスに対して半導体企業は何ができるか」第3弾は先着100名様となっているため、満席となった場合は、後日、会員向けに視聴サイトをご案内します。

参考資料
1. Global Semiconductor Sales Decrease 3.6 Percent in First Quarter of 2020 (2020/05/04)

(2020/05/12)
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