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2020年第1四半期の世界半導体ランキング、東芝が抜けHiSiliconが10位に

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直近(2020年第1四半期)の世界半導体トップ10位ランキングを米市場調査会社のIC Insightsが発表した(参考資料1)。これによると1位のIntel、2位Samsung、3位TSMCに続き、8位までは2019年のランキングと変わらないが、大きく変わったのは9位と10位。それぞれ東芝・キオクシアからNvidiaに、InfineonからHiSiliconに代わった。

表1 2020年第1四半期における世界半導体企業トップ10ランキング 出典:IC Insights

1Q20 Top 10 Semiconductor Sales Leaders($M, Including Foundries)


東芝・キオクシアグループに代わり、9位に入ったNvidiaは前年同期比37%増の30億3500万ドルに達した。1年前は同31%減だったため、今回の売上額は2年前から戻した数字といえる。ただし、メモリバブルと同期して、2017年第1四半期(11月〜1月)、2018年第1四半期はそれぞれ48%増、66%増とNvidia は大きく伸びた分、2019年第1四半期には31%減と大きく沈んだ。ただ、Nvidiaの製品はゲーム用のデスクトップパソコンとAIエンジンという伸び盛りの製品だけに、バブルで沈んだからといって、沈みっぱなしのはずはない。必ず復活することは目に見えていた。

Nvidiaよりもさらに驚異的な伸びを示したのは、中国の華為科技の子会社であるHiSiliconだ。HiSiliconは1年前には17億3500万ドルから今期54%増の26億7000万ドルへと大きく伸ばした。同社が販売する製品の90%以上が華為向けのキャプティブ市場向け。同社は中国のファブレス半導体メーカーだが、中国の半導体メーカーが世界のトップ10位に入ったのはこれが初めてとなる。

HiSiliconは、スマートフォン用のアプリケーションプロセッサやモデム(変復調IC)を最先端のプロセス技術で作れるように設計してきており、華為以外のスマホメーカーからも引き合いが増えていた。

ファウンドリメーカーのTSMCにとってもHiSiliconは重要な顧客になっていった。TSMCとIC Insightsによると、2017年におけるHiSiliconの売り上げは15.3億ドルで、TSMC全体の5%にすぎなかったが、2018年には同27.8億ドルで8%に、そして2019年には同49.5億ドルと14%を占めるようになった。もはや重要な顧客である。

トップテンの第3位になるTSMCは、45%成長と大きく伸びた。特に、7nmプロセスの売り上げがTSMCの成長のエンジンとなっており、HiSiliconはAppleと同じ微細な7nmプロセスを採用してきた。2019年におけるTSMCの売り上げの37%がAppleとHiSiliconであるという。

IC Insightsが発表する世界の半導体上位ランキングには必ずファウンドリ企業も含んでおり、これによってその規模が明確になるからだと同社は説明している。ファウンドリは、ファブレスやIDMから受注して製造を請け負っているため、その売上額を他の半導体メーカーの売上額に加えると半導体市場をダブルカウントすることになり、Gartnerは同じような市場調査会社だが、ファウンドリを含めていない。これに対してIC Insightsはトップテンランキングで市場シェアを求めようとしている訳ではなく、製造専門の半導体メーカーの規模感は、製造装置メーカーにとっても重要な情報になるため、ファウンドリも掲載している。IC Insightsが5月末にリリースする2020年第1四半期のレポートにはトップ25位までのランキングを掲載しているという。

参考資料
1. HiSilicon First China-Based Semi Supplier to be Ranked in Top-10 (2020/05/06)

(2020/05/07)

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