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2020年の世界のIT市場は3.4%増の3兆8650億ドル〜Gartner予想

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2020年の半導体市場は回復基調で進んでいることは間違いなく、どの調査会社でもプラス成長を見込んでいる。半導体市場をけん引するのはやはりIT分野であり、コンピューティングデバイスからソフトウエア、通信サービスを全て合計すると、前年比3.4%増の3兆8650億ドル(約420兆円)になるとGartnerは予想している(参考資料1)。

表1 通信を含む世界のIT市場 単位は10億ドル 出典:Gartner

表1 通信を含む世界のIT市場 単位は10億ドル 出典:Gartner


Gartnerが予測するIT市場には、データセンター向けのハードウエアシステムと、企業向けのソフトウエア、そしてパソコンやスマートフォンなどのデバイス、GoogleやFacebook、AmazonなどのITサービス、そしてNTTドコモやソフトバンク、KDDIなどの通信サービスを包含している。

この中で半導体の市場になるのが、データセンターシステム、デバイス、そして通信サービスだ。2019年はこの3市場がマイナスになったことと、半導体がマイナス成長となったことは金額のマイナス度合いは全く違うが、同様な傾向を示している。2020年はこの3つの分野もプラスになる見込みであり、特にデータセンターの回復が半導体産業に影響しているようだ。半導体以外の企業向けソフトウエアとITサービスはそれぞれ8.5%成長、3.6%成長とプラス成長を示し、全IT市場の0.5%プラス成長を支えた。

企業向けソフトが実は大きく変化しており、特にクラウドを利用するSaaS(Software as a Service)の形態でのビジネスが大きくなっているとGartnerは見ている。これまでのパッケージソフトも少し成長しているが、クラウドの成長は著しい。企業向けソフトは2020年に10.5%増と2ケタ成長を示すが、SaaSビジネスがけん引している。

半導体をけん引する市場も実はデータセンターの部分が増えている。全半導体市場からみたデータセンターシステム市場の割合は、IHS Markitの主席アナリストである南川明氏によると、10年前は4%程度しかなかったが、現在は12%にも達すると言う。つまり、半導体をけん引する市場としてデータセンターが大きくなりつつある。その背景はもちろんクラウドである。GoogleやAmazon、Microsoftなどのパブリッククラウド(誰にでも提供するオープンな市場)の大規模化が増え続けている。

全半導体市場ではもちろんパソコンやスマホの割合はまだ大きいが、パソコン、スマホ共少しずつ縮小している(参考資料2)。2019年はメモリの価格が下がったおかげで、パソコンは前年比0.6%増の2億6124万台と久しぶりに増えた(参考資料3)。2017年と18年はメモリ価格が上がったためにデバイス価格も上がり、結局パソコンの出荷台数が減少した。2019年はプラス成長ではあったが、IntelのCPU不足がなければもっと成長していたとGartnerは見る。

Gartnerは、ITの成長は2021年も続き、21年には3.7%増で4兆ドルを突破すると見ている。

参考資料
1. Gartner Says Global IT Spending to Reach $3.9 Trillion in 2020 (2020/01/15)
2. Gartner Forecasts Global Device Shipments Will Grow 0.9% in 2020 (2020/01/21)
3. Gartner Says Worldwide PC Shipments Grew 2.3% in 4Q19 and 0.6% for the Year (2020/01/13)

(2020/01/23)

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