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DRAM価格は2019年第1四半期に前期比20%減へ

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今年に入り、これまで単価の値上がりによって営業利益率が60%〜70%という「儲けすぎ」を享受してきたDRAMメーカーは、この第1四半期(1〜3月)前四半期比20%減という大幅な値下げを経験しそうだ。これはメモリ市場をウォッチしてきた市場調査会社のTrendForceの一部門であるDRAMeXchangeが見通しを述べたもの(参考資料1)。

Figure: Fulfilment Rate of Server DRAM Suppliers

図1 サーバー用DRAMの需給バランス 出典:TrendForce


DRAMは2018年12月からこの1月にかけて単価が急速に下落している。8GBのメモリモジュールが12月に60ドル、4GBモジュールだと30ドルしていたが、19年1月に入り、急速に落ち始め少なくとも毎月ベースで10%以上は減少している、とDRAMeXchangeは述べている。この勢いで2月、3月も続けて低下していくという。DRAM単体の価格は、2018年第4四半期から2019年第1四半期には20%低下するとみている。

サーバー用DRAMは、19年第1四半期に前期比20%以上の落ち込みを見せるだろう、とTrendForceは述べている(参考資料2)。ただし、サーバー用DRAM価格は徐々に下落していき、第2四半期は10%減以上、第3四半期は8%減以上、第4四半期は5%以上の下落を示し、最終的な19年末には50%に落ち着くとしている。いわばピーク値の半値になりそうだ。ただし、この間ビット需要は増えないと見る。

DRAM市場の最大の問題はビット需要が増えていないことである。在庫が大きく膨らんでいるためだ。季節要因として従来は翌年の第1四半期に在庫が目立つが、今回は第4四半期に早まり在庫が目立っていた。Micronは在庫を一気に吐き出すため、18年第4四半期に単価を大きく下げ、在庫調整を行った。韓国の2社は下落幅が小さく、19年の第1四半期全体で下げていく。短期的にはビット需要はまだ立ち上がらない。

TrendForceは、今年いっぱいDRAMの価格下落は続くと見ている。今回のメモリバブルでは、2016年後半からメモリ単価が値上がりはじめ、2017年全体と2018年の第3四半期頃まで値上がりが続いていた。このため、DRAM大手3社の寡占化が目立ち、儲けすぎの状態となった。売り上げに対する営業利益の割合である営業利益率が60〜70%という異常な儲けすぎを招いた。通常、半導体産業では30〜40%が優良企業と言われており、日本の大手電機産業は10%に満たず、営業利益率の目標を8%においているところが多い。これは少なすぎと言える。少なすぎると安定経営はできない。やはり20%〜30%の健全経営が安定につながる。

DRAM価格の値下がりが2019年の間続く以上、設備投資は抑えられ、マイナス成長になると見るのが常識だろう。今年は米中貿易争いという不透明な問題が起きており、成長率は下がる方向だ。例えば、2019年のスマホの世界生産台数は3.3%減の14億1000万台とTrendForceは見ていたが、米中貿易戦争が起きたため、5%減になるという見方を示した(参考資料3)。

参考資料
1. A Sharper Price Decline of Nearly 20% Is Expected for 1Q19 in DRAM Market, Says TrendForce
2. Server DRAM Contract Prices to Fall by Over 20% QoQ in 1Q19 Due to Difficulties in Reducing Inventory, Says TrendForce
3. Global Smartphone Production Volume May Decline by Up to 5% in 2019, Huawei Would Overtake Apple to Become World's Second Largest Smartphone Maker, Says TrendForce

(2019/01/24)

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