第4四半期にDRAMがようやく5%値下がりしそう
メモリバブルがようやくはじけた。2018年第4四半期にDRAMの単価が前四半期比でようやく値下がり始めるもようだ。市場調査会社のTrendForceは、2018年の第4四半期におけるDRAMの価格が当初1〜3%で値下がりするとみていたが、9月26日のニュースリリース(参考資料1)によると、5%の値下がりになるとみている。
表1 DRAMの契約価格 第4四半期の値下がりは当初よりも大きい 出典:TrendForce
DRAMの単価は、2016年の後半からずっと値上がりを続けてきた。2015年から2016年前半までは在庫が過剰でDRAMメーカーは生産量を抑えてきたからだ。生産量を増やさないという作戦は、DRAMメーカーがトップ3社しかいなくなったことと関係する。SamsungとSK Hynix、Micronの3社だけで市場の95%以上も占有しているからだ。たとえカルテルを結んでいなくても、3社しかいなければいつでも相手方の顔色を見ながら生産量を調整し単価を維持できる。
これに対し、NANDフラッシュは、これらトップのDRAMメーカーに、東芝メモリと、Western Digital、Intelが加わり、寡占化はDRAMほど極端ではない。このため健全な競争をしてきた。この結果生産歩留まりが上がり、生産量が増え、単価を下げても利益を生める健全な経済活動になった。不況が来るわけではない。ようやくメモリバブルがはじけたことになる。
DRAMの寡占化が続いているとはいえ、実はSamsungとHynixはライバル意識の極めて強い企業同士。HynixはSamsungに後塵を拝しているため、先に勝負を仕掛けることは目に見えている。幸い、NANDフラッシュの生産は安定軌道に乗り、Hynixがこれ以上NANDフラッシュに投資を続けるよりもDRAMでSamsungに勝つという悲願を達成させたい、と考えることは自然だ。
この結果、ようやくDRAMの生産量を増やすことができるようになり、単価が下落し始めるという訳だ。サーバーやパソコン向けのDRAMは、これまで供給不足から二重発注しており、生産量が上がってくると、やや供給が需要を上回り値下がりが進む。パソコンにせよスマホにせよ、コンピュータシステムでは、メモリはCPUとのやり取りに必要で、容量が多いとシステム速度が上がるため、増える方向にはある。64ビットシステムではメモリを増やしたいが価格が下がれば1台のシステムに使うメモリは増えていく。メモリ価格の低下=半導体ビジネスの悪化、ではない。
むしろ、これまでメモリバブルの恩恵にあずかってきた製造装置メーカーがちょっと一服の状況になりそうだ。
参考資料
1. DRAM Products May Experience Steeper Price Decline of 5% QoQ in 4Q18 Due to Oversupply and Weak Demand, Says TrendForce (2018/09/26)