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半導体の設備投資額が1000億ドルを超えそうな2018年

2018年の世界半導体の設備投資額は前年より9%多い1020億ドルに達しそうだ、という見通しをIC Insightsが発表した。この数字は2016年比でみると38%増にも達する。しかも全投資額の53%がメモリだとしている。

Memory's Growing Share of Capital Spending

図1 世界の半導体設備投資額は今年初めて1020億ドルを突破しそう 出典:IC Insights


メモリ53%の内、NANDフラッシュのような不揮発性メモリ投資が31%、DRAM/SRAM投資が22%となっており、いまだにNANDフラッシュへの投資の比率が高い。これらの投資には既存のウェーハプロセスラインと新規のラインへの設備投資がある。図1に示されたように、メモリラインへの設備投資は6年連続、メモリの比率は上がっている。2013年は147億ドルでメモリ比率が27%だったが、2018年は540億ドルと大きく増え(図2)、その比率は約2倍に広がっている。2013年から2018年までの年平均成長率CAGRは30%、ときわめて高い。


2018F Semiconductor Capex by Product Type

図2 半導体製品別の半導体設備投資 出典:IC Insights


今年特に大きな投資はDRAM/SRAMで、前年比41%増となっている。DRAMへの投資額は2017年に82%増と増えたのにも関わらず、生産量は需要にまだ十分ではなく、生産数量に寄与していない。DRAM単価のピークは第4四半期に訪れるようで、生産量はまだ少ない。しかしSK Hynixはライバル心をむき出しに、今年の第2四半期には前期比19.5%増と、急速に生産量を上げ、売上額を伸ばしている(参考資料1)。韓国のライバル企業同士の争いが本格化すれば、DRAM単価は下がってくるため、スマートフォンやパソコンの出荷台数も伸びるだろう。昨年はメモリ単価の値上がりのためにスマホやPCも値上がりし、出荷台数が増えなかった。

一方、NANDフラッシュでは、2018年の投資の伸びは、2017年に前年比91%も大きく伸びたのに対して、2018年は同13%増にとどまりそうだ。このせいか、NANDへの投資が止まった、という表現をするアナリストもいる。前年比82%増や91%増を経験した製造装置業界にとって、2017年はバブル的だったといってよいだろう。同様な伸びを2018年も期待すべきではないといえそうだ。

IC Insightsは、この2年間の巨大な設備投資により、DRAMもNANDフラッシュも供給過剰になり単価の下落を招くようになるリスクは高いとみている。一方で、メモリの容量を増やせば増やすほどコンピュータシステムが高速になることが明確になってきているため、ビット需要は高まっていき、これまでの需給関係よりはマシかもしれない。

参考資料
1. DRAMの単価上昇がようやくピークに、ビット数量が増大 (2018/08/14)

(2018/08/29)
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