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今年も世界半導体市場は史上最高、調査会社が軒並み上方修正

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2017年の世界半導体市場は、空前の好景気で20%を超す成長率を遂げたが、今年も15%前後で過去最高の金額を記録しそうだ。これは、市場調査会社が軒並み上方修正しているためだ。16%成長に上方修正したSemiconductor IntelligenceからGartnerの11.8%成長まで幅がある。

2018 Semiconductor Market Forecast

図1 2018年世界半導体市場の上方修正 出典:Semiconductor Intelligence


IC Insightsは1月の予想では8.0%成長とみていたが、3月には15%成長に修正した(図1)。またGartnerは1月の7.5%成長の予想を4月に11.8%成長に上方修正した。最も修正幅の小さい調査機関はWSTSで、2月の9.5%から6月に12.4%成長と変更した。

半導体市場の上方修正は、2018年第1四半期の販売額が予想以上に好調だったことがその根拠としてある。半導体市場は例年、その前年の第4四半期よりも大きく落ちるのが季節要因としてあった。前四半期はクリスマス商戦で景気に沸くからだ。このため、半導体の調子のよい年でも、第1四半期には前四半期比5%程度下がっていた。この第1四半期は2017年第4四半期のわずか2.4%しか落ちなかった。

2017年の半導体市場をけん引したのはメモリであり、61.5%成長した。メモリ以外が9.9%成長にとどまり、総合的に21.6%となった。特にDRAMは75%強も成長しバブル的な様相を示した。Samsung、SK Hynix、Micronのわずか3社でDRAM市場の95%以上も占める、この寡占化市場は引き続き、依然として強めに推移しそうだ。NANDフラッシュの単価は下がっているが、大きく値崩れするほどではないという向きは多い。

半導体をけん引してきたパソコンやスマートフォンはそれほど大きく伸びているわけではない。例えばGartnerは1月にパソコンとタブレットはゼロ成長で下げ止まったとみていたが、4月でも0.5%増、と大きな変化はない。IDCはスマホの出荷台数は2018年1.2%増、とみていたが、5月には0.2%減に緩まると修正したものの、それほどの落ち込みではない。

今年も半導体全体をけん引するデバイスはメモリだろうとみられているが、今年の後半に値崩れするという見方もあるようだ。ただし、今のところメモリメーカーを見ている限り、生産数量を大きく増やしているようには見えない。単価の上昇は高止まりしているものの、大きく値下がりする兆候は見えない。トップ3社に対して、中国2社がDRAMを生産する予定だが、うち1社は特殊用途向けのDRAMで上位3社とは競合しない。残りの1社がモバイルDRAMを生産するが、量産が来年になりそうで、今年の生産数量が大きく伸びそうにない。このため今年はDRAMの単価が大きく下がることはなかろう。後半の景気がたとえ弱含みで推移しても15%程度で成長するとSemiconductor Intelligenceは見ている。

(2018/06/15)

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