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中国半導体産業、メモリ、ファブレス、ファウンドリで成長へ

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中国の半導体は、メモリとファウンドリ、そしてファブレスが主力になりそうだ。これはSEMICONジャパン2017でのセミナーで中国市場を調査したSEMI台湾のClark Treng氏が示したもの。メモリはDRAMと3D-NANDフラッシュが主力となる。中国地場企業だけではなく外国企業の投資による設備投資も増加している。

グラフ:China Construction Spending by Product Type

図1 中国での半導体工場建設の投資額はメモリとファウンドリに 出典:SEMI


中国の半導体産業は2017年に工場建設を進め、2018年でも工場新設の予定が多い(図1)。工場の建設が終わると設備の搬入になるため2018年の半導体設備投資額は本格化する。2018年に工場を建設するところは、2019年に装置の搬入になるため、半導体製造装置は中国ではむしろこれから2018年、19年がブレークの年となる。SEMI ChinaのLung Chu氏は、2017年の設備投資額で、中国は韓国、台湾に次ぐ第3位の金額だったが、2018年は第2位に飛躍すると述べている。

中国における半導体製造装置の問題の一つは、設備投資がまだ不足していることだ、とSEMI台湾のTeng氏は語る。2017年に新たに19ものプロジェクトが進行しているが、設備投資は19年にピークを迎えるとしている。

中国に工場を新設したり、設備投資を行ったりするのは中国地場企業だけではない。外国企業やその合弁もまた設備投資を強化している(図2)。今年、前工程のプロセス設備に投資したのは、Intelのファブ68で、3D-NANDへのシフトに、SK HynixもDRAMにC2棟にそれぞれ使った。ファウンドリでも台湾のUMCと地場のSMICがそれぞれファブ12X、ファブB2に投資した。2018年には、長江ストレージやTSMCの南京工場フェーズ1、GlobalFoundriesの成都工場、地場の上海華力微電子のファブ2、福建省晉華ICのDRAM工場などが設備投資を予定している。2019年にはさらに清華紫光集団の南京工場、Samsungの西安工場、SK Hynix、地場のSMICの新工場、合肥長金のDRAM工場なども予定している。


グラフ:Fab Capacity in China

図2 中国への設備投資は地場企業だけではなく外国企業も投資額を増やしている 出典:SEMI


中国が力を入れるのはやはりメモリ(図3)。DRAMはSK Hynixが力を入れてきたが、NANDフラッシュはIntelやSamsungも投資を継続する。2018年の生産能力はほとんど増えていないが、2019年から増強の効果が表れてくると、SEMIは予想する。NANDフラッシュはもちろん3D-NAND構造の生産能力増強であるから、すぐに効果は表れてこないが、やはり2019年くらいから増強されるとみる。


グラフ:China Memory Capacity Forecast

図3 メモリ投資は重要な戦略 出典:SEMI


3D-NANDの増産は東芝にとって脅威になるが、実は中国はメモリだけではない。増産を計画しているSMICに加え、UMCやTSMC、GlobalFoundriesの外国勢や地場の上海華力微電子もファウンドリを増強する。


グラフ:China Semiconductor Industry Revenue by Segments

図4 中国半導体産業のセグメント別販売額 出典:SEMI


そして設計力も侮れない。ファブレス半導体企業の売り上げは着実に成長している(図4)。当初は半導体原価に対する人件費比率のやや高い、後工程が最も販売額が大きかったが、2000年の第1次半導体ブームでSMICに代表されるように前工程工場が出来、その後でファブレスのIC設計企業も生まれてきた。セミコンポータルでは、中国のファブレス半導体の上位10社についてレポートしたが(参考資料1)、第1位のHiSilicon、2位のStreadtrumで見られるように、スマートフォンのアプリケーションプロセッサを設計する企業が成長するようになった。図4では、2016年には後工程の売り上げよりもファブレスの売り上げの方が多くなり、逆転した。

ファブレスのこの両社は、今やQualcommやMediaTekの地位を脅かすようになった。ここ1〜2年のQualcommやMediaTekの不振は中国市場におけるファブレス半導体メーカーによるもの。中国は国産化を推奨しており、国産優遇策は昔から取られてきている。3D-NANDやDRAMなどのメモリにも何らかの優遇策がなされるという向きは多い。

参考資料
1. 中国のファブレス半導体、年率20%成長が続く (2017/12/21)

(2017/12/27)

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