今年の半導体、20.6%増の史上最高4087億ドルとWSTS予測
WSTS(世界半導体市場統計)が2017年、2018年の世界半導体市場予測を発表した。それによると、2017年の半導体市場は前年比20.6%増の4086億9100万ドルと大きく成長する(図1)。この市場予測は、世界の半導体企業が11月14〜16日間台北に集まり9月までの実績を元にした。WSTS加盟企業は43社。
図1 2017年/2018年の世界半導体市場予測 出典:WSTS
2017年は年初から半導体景気に沸いた。それもメモリ単価の値上がりだけでメモリ売り上げは大きく増えた。WSTSではメモリの販売額は前年比60.1%増の1229億1800万ドルと予想している(図2)。半導体を使ったセット製品が特に大きく成長したわけではなく、メモリ単価が上がっただけともいえる。メモリの生産量がそれほど増えていないためだ。とはいえ、メモリが需要をけん引し、スマートフォンやモバイルパソコンはプラス成長する見込みだ。WSTSはオープンにしていないが、メモリの中ではNANDフラッシュよりもDRAM需要が極めて高かった。Samsung、SK Hynix、Micronが大きく伸びた。
図2 2017/2018年のICの伸び予測 出典:WSTS
セット製品で見れば、やはりiPhone XやiPhone 8、Galaxy Note 8のようなスマートフォンが今年は伸びそうで、スマホのアプリケーションプロセッサを含むロジックは10.8%もの伸びを予想している。次にアナログの10.2%だ。これもスマホやIoTのセンサ回りや電源など需要は堅実にある。また、マイクロプロセッサとマイクロコントローラ(マイコン)のマイクロは4.2%の伸びにとどまる。IC全体では22.9%と伸びは大きい。
一方、ICではない、ディスクリート半導体やオプトエレクトロニクス、センサなどはそれぞれ10.7%増、7.7%増、15.9%増となる見込み。オプトエレクトロニクスには、LEDやレーザに加え、受光器であるイメージセンサを含んでいるが、単価の値下がりが激しく売り上げはさほど大きくない見込みだ。センサはほとんどがMEMSセンサであり、機械的な動きを電気に変換する加速度、回転角度、圧力、磁気、温度など検出するセンサが多い。MEMSマイクロフォンもスマホだけではなく、AIスピーカーのノイズキャンセラにも使われる見込みで、これからも伸びそうだ。ディスクリートでも超汎用の小信号トランジスタよりは、MOSFETやIGBTのようなパワートランジスタの方が圧倒的に多い。
2018年もさらに伸びるとみており、半導体全体で7.0%増の4372億6500万ドルとしている。これもICが7.0%増の3640億3400万ドルとみている。中でもメモリが9.3%増とさらに伸びるとみており、半導体市場全体をけん引している。