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IoTはバブルから堅実路線へ

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IoT端末が次第に手堅い数字に変わってきた。5年前には2020年に500億台という予想がまかり通っていたが、最近では260億台とも280億台とも堅実な数字に変わってきている。それに伴い、IoT向けの半導体市場規模は以前の予測(2015年12月)からわずかだが減少している。IC Insightsは、2019年には311億ドルの従来予想から296億ドルになると最近、予測を修正した。

図1 IoT用半導体の市場見込み 出典:IC Insights

図1 IoT用半導体の市場見込み 出典:IC Insights


直近の2016年におけるIoT用半導体の市場は前年比19%増の184億ドルと予想している。この調査のニュースリリースでは、IoT用半導体の定義ははっきりしていない。ここで採り上げている半導体応用は、コネクテッドシティ、コネクテッドカー、ウェアラブル、コネクテッドホーム、工業用IoTだけであり、それもIoT端末をIoT用半導体としている。しかし、IoTシステムでは、IoT端末から、ゲートウェイ、クラウドが基本構成としてあり、用途によってはビーコンやAR(拡張現実)を使う機器もある。この調査では、IoT端末しか含めていない。

2016年におけるIoT端末の市場規模は、コネクテッドシティ向けが前年比15%増の114億ドル、コネクテッドカーは66%増の7億8700万ドル、ウェアラブルは22%増の22億ドルとなっている。ウェアラブルIoT端末の2015年第2四半期にAppleがスマートウォッチでこの市場に参入し、2015年には421%の18億ドルに急成長した。その他、コネクテッドホームは2016年に16%増の5億4500万ドル、工業用IoTは22%増の35億ドルと見込んでいる。

こういったそれぞれの分野のIoT市場で、かつての予想と大きく変わらなかった分野はコネクテッドホームと工業用IoTで、いずれも着実に伸びているからこそ、当初の予想とほとんどずれていない。特に、工業用IoTは、2014年の23億ドルから、2019年までCAGR(年平均成長率)25.7%で伸びて行き73億ドルに成長すると見ている。

逆に当初の予想よりも大きく変わったのは、コネクテッドシティとコネクテッドカーである。2014年から2019年のCAGRは前者が前回の15.5%から12.9%に落とし、2019年には157億ドルにとどまるとした。一方、コネクテッドカーは予想よりも大きく上方修正した。2019年に従来の14億ドルから17億ドルに修正し、CAGRは31.2%から36.7%へと上げた。これは欧州で、全てのクルマに無線通信モジュールの搭載を義務付けられているeCallサービスが2018年から始まることを見込んで、インターネットとつながるクルマが増えてくると予想したものであろう。eCallは、事故が起きると即座にそれを検出し、意識のないドライバでさえも事故が起きたことを事故管理センターに知らせるサービスである。即座に救急車と共に駆けつけるため、これまでは息絶えていたかもしれない命を救うことができるようになる

(2016/09/14)

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