2016年上半期の世界半導体メーカーランキング
Intel社の1位、Samsungの2位、TSMCの3位は変わらず、4位にBroadcomが上がってきた。こんな2016年の世界半導体メーカーのトップ20社ランキングを、米市場調査会社のIC Insights社が発表した(表1)。日本の東芝、ルネサス、ソニーが上位20社に入っている。
表1 2016年上半期の世界半導体メーカートップ20社 出典:IC Insights
第2四半期の売り上げが前四半期のそれを2桁以上上回った企業が7社ある;Samsung、TSMC、Qualcomm、SK Hynix、MediaTek、UMC、AMDである。前期の不調から回復してきた企業が多い。また、トップ20社の内、13社は30億ドル以上を売り上げている。
第2四半期で前四半期比32%増と最も大きく伸びたのは台湾のMediaTekである。同社は、アプリケーションプロセッサ(APU)で伸ばしてきたファブレス企業であり、元々UMCからスピンオフした企業でもある。スマートフォンのAPUビジネスは浮き沈みが激しいようだ。Qualcommは中国市場で、HiSiliconやSpreadtrumなどの中国ファブレス勢に苦戦を強いられてきた。MediaTekも中国市場では強かったが、中国のスマホ市場は変動が激しく、そのままAPUメーカーの変動につながっている。昨年まで急伸していた小米科技が今年は失速し、OppoやVivo社のスマホが伸びている。MediaTekのAPUはOppoやVivoに採用されているとIC Insightsは見ている。
また、このランキングにはApple社が14位に入っているが、同社のARMベースのAPUは、社内向けしか販売しておらず外販していないが、IC Insightsはその販売額を推定し、29億ドルと見積もっている。ファブレス半導体メーカーのAppleは昨年の17位から今回14位に3つランクを上げた。また、ランクを上げた企業としては他に、MediaTekが2つ上げて11位に、Broadcomが2つ上げて4位になった。
また2015年にはランク外だったAMDが前四半期比23%と伸ばしており、2015年の21位から20位に滑り込んだ。代わって圏外に落ちたのはシャープで、13%減となった。
なお、IC Insightsのランキングにはファウンドリを含んでいるが、それは半導体メーカー(サプライヤ)の視点で半導体産業を見ているからだ。このままメーカーの売上額を合計すると、ファウンドリの金額も加えて半導体市場をダブルカウントしてしまうため、意味はない。それでもTSMCやUMC、GlobalFoundriesなどのファウンドリ企業の規模感を知ることは、製造装置メーカーにとって重要な情報になる。
もし、これらのファウンドリメーカー3社を除き、半導体市場という視点で見ると、20社には中国のファブレスHiSilicon(17億1000万ドル)、ON Semiconductor(16億9500万ドル)、Analog Devices(15億8300万ドル)がランクインすることになる。ON SemiのFairchild買収、ADIのLinear Technology買収もまだ完了しておらず、2016年後半あるいは2017年の半導体メーカーランキングは大きく変動するかもしれない。