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日本製半導体製造装置、当分の見通しは明るそう

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日本半導体製造装置協会(SEAJ)によると、2016年3月の日本製半導体製造装置の受注額は、前月比2.5%増の1294億3100万円、販売額は同30.4%増の1163億5700万円、B/Bレシオは1.11となった。依然として好調さは続いている。B/Bレシオは2月の1.41から3月は大きく落ちたのにもかかわらず、好調と言うのはなぜか。

図1 2016年3月の半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図1 2016年3月の半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ


B/Bレシオは依然として1.0を超え、受注額も増加し続けている。この3月は販売額が急増したためにB/Bレシオが前月の1.41から1.11まで下がった。数字だけを見るとまだ好調だといえるが、B/Bレシオの2月からの下落をどう見るかによって予測シナリオは変わる。

この下落を見る上で、注意すべき事実がいくつかある。まず3月という期末期であること。もう一つはこの数字は3ヵ月の移動平均であることだ。期末期は支払いが増加するため、売上金が入るのが一般的。特に日本は年度末でもある。そして、3ヵ月の移動平均ということは、3月の数字が1〜3月の平均値であるということ。1月、2月の低い数字から急激に高くなったということは、3月単独の数字はもっと高いという意味である。さらに、3ヵ月の移動平均値は、4月、5月と販売額がたとえ1月、2月並みに落ちるとしても、3月のこの数字が5月まで維持される。

以上のことから、受注額がキープできれば、B/Bレシオは下がらないだろう、といえそうだ。もし受注額が落ち始めているのなら、B/Bレシオは1.0を割る恐れがある。しかし、TSMCが2016年に3000〜4000人規模の新規採用を行うという話が4月21日の日本経済新聞に報じられており、景気の先行きが明るいともいえる。インテルが増収・増益にもかかわらず1万2000名のレイオフを発表したのは、パソコン事業の今後を見据えての話であり、今後はインテルもIoTやモバイル、クラウドへとかじを切り始めているためである。Intelのパソコン事業はモバイルパソコンへのシフトから1.7%のプラス成長になっているが、クラウドやIoT事業の成長率はずっと大きい。総じて将来は明るいといえるだろう。


図2 2016年3月のFPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図2 2016年3月のFPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ


FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置は緩やかではあるが、販売額が徐々に増えはじめている(図2)。パソコンからモバイルへの方向転換が始まっているため、大型化より中小へのシフトが、中国も含めた世界で始まっていると見てよい。ただ、中国市場だけは注意が必要で、市場を見ずに作り続けるという共産主義特有の経済を進めてきているため、受注額がバブル的であることを見る必要があろう。むしろ、日本のFPD製造装置メーカーは、旺盛な受注に対してすぐに対応しようとせず、様子を見ながら対応してきたことは賢明かもしれない。それがこの1年以上、B/Bレシオが1.0よりもはるかに大きすぎるという不自然な状態が続いてきた要因だと見ている。

(2016/04/21)

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