2018年に半導体出荷数が1兆個に
半導体チップの出荷個数が2018年には1兆個を突破しそうだ(図1)。このような予測を打ち出したのは米市場調査会社のIC Insights。2015年の時点で、ICとディスクリートも含めた全半導体デバイスの出荷個数は8400億個を突破している。
図1 半導体出荷個数が1兆個に届く 出典:IC Insights
IC Insightsが見積もっている2015年の世界半導体の売り上げは3536億ドルであるから、半導体デバイス全体の平均単価は、0.42ドル、約47円(1ドル=113円)となる。ディスクリートの小信号トランジスタなどは、1個数十銭とも言われているので、平均単価をディスクリートが引き下げている。そこで、ICとそれ以外とを分けることで、ICの平均単価を求めることができる。IC Insightsは平均単価を公開していないため、WSTSの統計数字を利用する。
WSTSの統計によると2015年の売り上げは、前年比0.2%減の3352億ドルとなっている。この絶対値はIC Insightsの売り上げとかなり異なるため使わずに、ICとそれ以外の半導体の売上額の比率を使うことにする。WSTSの実績では、半導体売り上げ全体の内、ICは82%、その他(オプトエレクトロニクス、センサ、ディスクリート)が18%となっている。やや乱暴だが、絶対値の数字には影響されないため、この割合をIC Insights数字に当てはめてみると、2015年の半導体売り上げ3536億ドルの内の82%をICの売り上げとみなすと、2899.5億ドルとなる。
IC Insightsは、ICとその他の半導体の出荷数量を図2で示している。これによると、2015年におけるICの数量は2356億個である。ICの売り上げを数量で割ると、ICの平均単価が求まり、1.23ドルすなわち139円となる。これは量産時の価格と見てよいので、半導体メーカーはこれを生産するICの価値の目安にすることができるかもしれない。
図2 半導体の出荷個数はIC以外の方が圧倒的に多い 出典:IC Insights
IC Insightsによると、統計を取り始めた1978年の326億個から2018年には1兆225億個になると見て、この40年間における半導体生産個数の年成長率は、9%になる。40年間でいろいろ浮き沈みがあったが、個数が最も大きく伸びたのは、1984年の34%増、逆に最も大きく減少したのは2001年のインターネットバブル時の19%減であったという。
IC以外の単価はICよりも小さいはずだが、それも見積もってみよう。IC以外の半導体売り上げは全半導体売り上げ3536億ドルの18%として636.48億ドルと見積もる。個数は図2から6048億個であるから、その平均単価は0.105ドル、すなわち11.9円と安い。この中には、オプトエレクトロニクスであるCMOSセンサや、MEMSセンサ、パワートランジスタなど比較的価格の高い製品も含まれており、それらの単価はこの平均価格よりも高いと思われるため、ディスクリートトランジスタの数量は公表していないため、その平均単価は求められない。おそらく小信号トランジスタや汎用のダイオードなどは1円にも達しないという声も聞く。
東芝がディスクリート部門を売却したい気持ちはこれでもわかる。この安い平均単価で利益を生むことは、日本に工場を持つ製造業では至難の業と言わざるを得ない。