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2015年の世界半導体市場は横ばいとWSTSが見通しを発表

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WSTS(世界半導体市場統計)が2015〜2017年の半導体市場の見通しについて、11月中旬に会議を開き、予想を立て、このほど発表した。これによると2015年の世界半導体市場は、5月時点での見通しの前年比3.4%増の3472億4800万ドルから下方修正し、0.2%増の3363億9200万ドルになると予想する。

図1 地域別市場予測 出典:WSTS

図1 地域別市場予測 出典:WSTS


WSTSの見通しでは、1〜9月は実績を使い、10〜12月は見込みとした。市場別(編集室注)では、アジア太平洋地域が3.9%の伸びだが、それ以外の地域は全てマイナス成長。特に日本の成長率は10.3%減と最低。ただし、為替の影響が大きく、円ベースでは2.9%増とプラス成長になっている。日本円は2014年では1ドル=105.7円で算出していたが、2015年は121.3ドルと約20%も円安になっている。同様にユーロも20%程度安くなっており、ドルが非常に高い状態が続いている。本日現在では、1ドル=122.9円、1ユーロ=130.6円となっている。逆に言えばWSTSはそのデータを持っていないが、ユーロ建てなら欧州は日本よりももっと伸びている可能性がある。

2015年の製品別見通しでは、集積回路(IC)全体では0.7%減である。その中でアナログが最も成長率が大きく2.5%増、マイクロプロセッサとマイコンを含むマイクロ分野は1.5%減、アプリケーションプロセッサやFPGAなどを含むロジック分野は1.6%減、メモリ1.0%減となっている(図2)。IC以外ではパワートランジスタや小信号トランジスタを含むディスクリート6.8%減だが、CMOSイメージセンサやLEDを含むオプトエレクトロニクスは12.1%と伸びは大きい。MEMSなどのセンサは3.4%増になっている。


図2 アナログだけが今後もプラス成長 出典:WSTS

図2 アナログだけが今後もプラス成長 出典:WSTS


総じて、アナログ系の伸びが大きく、パワーマネジメントIC(PMIC:電源IC)が堅調に推移している。PMICは電子機器全てに必要なため、それだけ電子機器の種類や数量が伸びていると見てよいだろう。モバイル系だけではなく、伸びの大きなクルマ向けのECU(電子制御ユニット)にもPMICは必須であり、ECUの数が増えれば増えるほどPMICの数量も増えることになる。オプトエレクトロニクスの中に占めるCMOSのイメージセンサとLEDがそれぞれ35%程度ずつでこれらがオプトエレクトロニクス全体をけん引している。

ICのメモリは軟調であり、2014年に18.2%も伸びたため、その反動が2015年にやってきて2016年も続くとWSTSは見ている。けん引する電子機器のアプリが弱いからだとしている。メモリ市場としては「DRAMがメモリ全体の50%後半、NANDフラッシュは30%後半を占める」とWSTSは言う。パソコンが10%近く減る見通しであり、パソコンの落ち込みをこれまではスマートフォンが補ってきたが、2015年にスマホの伸びが鈍化しており、2016年も軟調気味になるとして、メモリは3.1%減と見ている。


編集室注:ここでの市場とは、半導体製品をメーカーから第3者に渡される地域とWSTSは定義している。

参考資料
1. 2015年の世界半導体は3.4%増の3472億ドル、WSTSの予測 (2015/06/03)

(2015/12/02)

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