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日本製半導体製造装置、B/Bレシオは0.72だが底を打った可能性

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2015年10月における日本製半導体製造装置のB/Bレシオは、0.72と、先月の0.69よりは改善したが、受注額は先月の881億3600万円から少し下がり828億6000万円になった。ただし、これまでの受注額の落ち込み傾向から見て(図1)、底を打った感がある。

図1 日本製半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図1 日本製半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ


5月あたりから受注額が落ちてきており9月のBBレシオは0.69と2012年9月の0.65に次ぐ低い数字だった。しかし、今回は受注額の下げ止まり傾向が見られる。装置メーカーの販売額が6月から9月にかけてプラス成長だった。10月は9月よりも8.5%減とマイナス成長だったが、対前年同月比では19.4%増となっている。

今後の見通しだが、半導体製造に特化するファウンドリ最大手のTSMCの売り上げからある程度それを見ることが可能だ。TSMCの売り上げは、8月、9月と前年同月比でマイナスだったが、10月になり、前年レベルを再び超えた(図2)。世界全体の半導体売上額は8月、9月と落ち込んだため、警戒心が強かったが、ようやく下げ止まったようだ。TSMCは設備投資額39億6330万ドルの金額が役員会で認められた、と11月10日のニュースリリースで発表している。


図2 TSMCの売上額は回復した 縦軸は台湾ドル(1台湾ドル=約3.77円) 9月は-13.8%であった

図2 TSMCの売上額は回復した 縦軸は台湾ドル(1台湾ドル=約3.77円) 9月は-13.8%であった
出典:TSMC発表資料を元にセミコンポータルが加工した


TSMCは9月23日に2015年の第4四半期(4Q)と2015年の見通しを発表している。それによると、4Qは3Qよりも若干落ちるが、2015年通期では2014年の売り上げよりも2桁近くの成長率になりそうだとしている。

これまでのWSTSやSIAのような世界半導体統計だと、公表されるまでに時間が長く、マイナス成長のような暗い予想が支配的だった。実際WSTSの発表資料では、5月の3.4%から6月以降は9月までマイナス成長が続いている。6月-1.7%、7月-4.3%、8月-1.6%、9月-2.6%となっている。10月もマイナス成長かもしれないが、底を脱出する方向ではないだろうか。

日本製FPD製造装置は依然として販売が追い付かないという様相を示している(図3)。10月の受注額424億500万円に対して販売額は226億3100万円、B/Bレシオは1.87となっている。


図3 日本製FPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図3 日本製FPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ


受注額と販売額との大きなかい離が続くことは何を意味するのだろうか。羹(あつもの)に懲りてなますを吹く、ということわざ通りなのか、あるいは受注額そのものがバブルと知って警戒感を緩めないのか、このかい離が続く意味を明らかにしない限り、B/Bレシオが高いからと言って手放しでは喜べない。

参考資料
1. 半導体製造装置はデバイスの落ち込みとリンク、赤信号灯る (201510/21)

(2015/11/25)

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