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パワートランジスタ市場は2015年に過去最高の140億ドルになりそう

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パワートランジスタの販売額が今年、過去最高の140億ドルに達しそうだ、と米市場調査会社のIC Insightsが発表した。前年比で6%増になる。パワートランジスタ市場は2011年を最後のピークに2年連続マイナス成長となり、2014年に14%増で回復、2015年もプラス成長になりそうだと見ている。

図1 世界のパワートランジスタ販売額 2015年以降は予測 出典:IC Insights

図1 世界のパワートランジスタ販売額 2015年以降は予測 出典:IC Insights


最近の6年間、パワートランジスタ市場は2008〜2009年のリーマンショックで落ち込んだ後、オーバーシュートとも言うべき2010年に43%増の120億ドル、2011年にはさらに12.5%増の135億ドルと急成長した。2012年、2013年はその反動でアンダーシュートが起こり、2年連続マイナス成長した。2014年に回復し、さらに2015年も緩く成長すると見ている。

パワートランジスタは、元々大電流を流してモーターやスピーカーなどのアクチュエータを駆動し、電源などにも使われる。このため、交通や電力インフラ系などの用途が多かった。急成長してきたスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスなどとは全く異なる市場特性を持つ。例えば半導体全体の市場は、リーマンショック後の回復では2010年にオーバーシュート的に回復した後はすぐにアンダーシュートが現れ、2013年ごろから回復が始まっていたが、パワートランジスタの回復は約1年遅かった。

メモリやプロセッサなどのデジタルICの動向からもこの先大きく落ちるという見方はなく着実に成長することは間違いなさそうだ。このため、IC Insightsは2019年までに緩やかな成長を見込んでいる。パワートランジスタの市場として、自動車、民生、工業機器、無線通信などの市場の着実な成長と共に、2014年から2019年までの間の年平均成長率CAGR5.3%で成長すると予想している。1994年から2014年までのCAGRは6.2%だった。

パワートランジスタは、ディスクリート半導体の中で、1994年に36%を占めていたが、この比率は徐々に高まり、2004年に51%、2014年には58%を占めるようになった。これは例えばオーディオアンプなどではIC化が進んできたことや、小信号トランジスタなどもIC化で取り込まれるようになったことが大きい。ただし、JEITAやWSTSでは、モーター制御用にはパワートランジスタ2個あるいは6個単位のモジュールも、ディスクリートトランジスタの範疇に入れている。

2015年のパワートランジスタ市場の内訳は、パワーFETが6%増の74億ドル、IGBTモジュールが8%増の31億ドル、IGBTトランジスタは6%増の11億ドル、バイポーラトランジスタは4%増の8億9300万ドルになると同調査会社は予測している。

(2015/06/25)

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