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2014年クルマ用半導体ランキングから2015年の順位を展望する

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2014年版のクルマ用半導体ランキングが発表された。ほぼ同時にNXP SemiconductorsとFreescale Semiconductorの合併により、クルマ用半導体のランキングは2015年にはおそらく1位がNXP/Freescale組、2位がルネサスエレクトロニクスになろう。International Rectifierを合併した3位のInfineon Technologiesも急追する。

表1 2014年クルマ用半導体ランキング 売上額の単位は百万ドル 出典:IHS

表1 2014年クルマ用半導体ランキング 売上額の単位は百万ドル 出典:IHS


これは市場調査会社のIHSが発表したもの。クルマ用半導体の世界市場は2014年に前年比10%増の289億8400万ドル(3兆4800億円)に成長した。世界の半導体全体は9.8%増であったから、クルマ用半導体は平均値と思えるかもしれない。しかし半導体全体を引っ張ったのはDRAMやNANDフラッシュなどのメモリであり、生産量を減らさなかったために金額は20%程度の伸びを示したようだ。メモリを除くと半導体全体では7〜8%の伸びにとどまったと見られることを考慮すると、クルマ用の半導体は伸びた部類になる。

また自動車用ではメモリはそれほど使わないため、DRAM/フラッシュの伸びの影響は少なかっただろう。

クルマ用半導体トップのルネサスは、4.0%成長の30億3200万ドル、2位のInfineonは11.7%増の27億200万ドルと追いかけている。ただし、これには円安の影響が大きく表れており、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの年平均の円ドル為替レートによれば、1ドルが2013年平均98.65円、2014年には同106.85円となっている。現在はさらに円安が進行しており、現在は120円である。2013年から2014年にはおよそ8%の為替の影響を受けているため、単純にそのままあてはめられない。ただ、ルネサスのクルマ部門は、リストラの中、2014年度の第1〜第3四半期(4月〜12月)7%増程度の成長を遂げた。ルネサスの2013年度第4四半期の決算レポートではクルマ用半導体の数字を掲載していないため、2014年数年の明確な数字は明らかではないが、伸びが同程度だとすると、ルネサスは7%成長したと見てよいだろう。2015年もさらに円安の影響を受けるため、油断するとルネサスの順位は2位どころか3位転落もありうる。ここは手綱を緩めてはならない。

NXPとFreescaleのクルマ用半導体はそれぞれ13.5%、13.4%と伸びているため、2015年のトップは間違いないだろう。しかし、日本企業によく似たFreescaleと、独立心の強いNXPとの合併が、功を奏するかどうか、合併後のマネジメントが極めて重要になろう。

NXPはどちらかといえばカーステレオやカーラジオに強く、ADASや制御系はそれほど強くはない。しかし、カーラジオにはSDR(ソフトウエア無線)ベースバンド技術を確立しており、欧州をはじめ国境をまたがる地域では威力を発揮する。加えて、48Vシステムに着手し、車内イーサーネットの開発も進めており、Car-to-X間通信のIEE802.11pというWi-Fi規格の実験も終えており、次世代クルマのシステムを着実に構築してきている。

Freescaleは、i.MXプロセッサ、車載マイコンに加え、PowerアーキテクチャのコアやSoCも揃えており、これからのADAS(先進ドライバー支援システム)への準備を着々としている。

現在はトップを行くルネサスは、ようやくソリューション提案できるようなシステム指向の半導体メーカーへと脱皮しつつあり、世界と十分に戦える体質になりつつある。円安のネガティブ要因に負けないように、クルマ向けのOEMメーカー、ティア1メーカーなどへの更なるグローバルな顧客開拓を推進することで、成長路線を確保できるだろう。

(2015/04/09)

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