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中国の自動車市場が鈍化だが、部品市場は2桁成長

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自動車産業は先進国では完全に成熟産業だ。日米欧の自動車メーカーおよび部品メーカーは、中国やインドなど成長著しい市場を目指し現地で生産、現地の自動車メーカーに納めたり、輸出したりする。市場調査会社のAlix Partnersは、中国における自動車企業とその関連部品企業にアンケート調査を行い、このほどその結果をまとめた。

このレポートは、現地企業と中国に拠点を構える欧州、米国、韓国、日本などの自動車メーカー(OEM)および自動車部品メーカー(サプライヤ)にアンケート調査を行い、OEM137名、サプライヤ142名の合計279名から回答を得たものをまとめた。これによると、自動車販売台数の成長率は鈍化しており、2013年の前年比7%増から2016〜2017年には同5%に鈍化すると見ている。しかし、部品市場は今後も同10〜30%といった高い成長率を見込むところが多かった。


図1 世界での自動車販売台数の推移 先進国はフラットかマイナス 出典:AlixPartnersほか

図1 世界での自動車販売台数の推移 先進国はフラットかマイナス 出典:AlixPartnersほか


2012年、中国における自動車の生産台数は1860万台となり(図1)、米国のそれの1720万台を抜き世界最大の生産国となっている。ちなみに西欧は1320万台、日本は520万台である。リーマンショック直前の2007年を100とした時の自動車生産台数は、先進国では軒並みフラットかマイナスである(図1)。中国は2007年比で大きくプラス成長しており、これからも成長が期待される。


図2 自動車部品は2桁成長 出典:AlixPartners

図2 自動車部品は2桁成長 出典:AlixPartners


ただし、今後は自動車の生産台数の伸びも鈍化する。年成長率は1桁にとどまると見られている。ところが、自動車用の部品は今後も平均11.4%〜12.8%増と2桁成長すると見る向きが多い(図2)。これは、部品の交換ニーズが増えること、特にアフターマーケット市場が拡大するため、自動車OEM向け以上の伸びが期待されると見ているからだ。加えて、中国のサプライヤは、OEMメーカーの輸入部品の置き換えに対抗しようと生産を増やすだろう、とAlix Partnersは見ている。そうなると、日本の部品メーカーは中国で生産を増やすようになる。

一方で、中国での部品生産を見る限り、70%以上の部品サプライヤの設備稼働率は80%以下で推移しており、供給過剰の不安を抱えている。特に中国部品メーカーは、低価格にして競争に勝とうとする傾向が強く、昨年よりも価格競争が激化したと感じる企業が増えている。

中国から米国や日本への部品の輸出は増加しており、2012年は米国向けが前年比13%増の146億3200万ドル、日本向けは同22%増の64億6500万ドルとなっている。欧州向けは7%減の72億5400万ドルである。自動車用部品の輸出全体で見ると、2012年は10%増の586億6800万ドルと増えており、やはり部品生産が成長していることを裏付けている。


図3 中国市場での各国自動車企業のシェア 出典:AlixPartnersほか

図3 中国市場での各国自動車企業のシェア 出典:AlixPartnersほか


実績ベースでは、中国における日本の自動車メーカーの生産台数の市場シェアは落ちている。2008年には中国市場で25.6%あったが、シェアは毎年低下し続け、2013年の上半期にはついに15.0%まで低下した(図3)。日本の自動車部品メーカーは日本のOEMだけに頼らず、海外の自動車メーカーにも活路を求めていく必要がある。

(2013/09/10)

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