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景気ドライバがモバイルに移行、対照的になる半導体vs FPDの製造装置

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日本半導体製造装置協会(SEAJ)が発表した、7月の日本製半導体製造装置のB/Bレシオは1.19と健全なレベルに来ている。6月は、B/Bレシオ1.40を記録したが、受注額が変わらないのに販売額が前月より22%も下落したためであり、この月が特に良かった訳ではない。7月は販売が15%増と持ち直した。FPD装置は受注が縮小している。

図1 日本製半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図1 日本製半導体製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ


7月の受注額は前月比2.2%減の928億4100万円、販売額は前月比15.1%増の779億1900万円と復活したことでB/Bレシオが若干下がったものの、1.19という健全な数字になった。むしろ、先月の1.40という受注額と販売額が大きくかい離したことの方が問題で、需要に対して供給が追い付かないことを表している。これはビジネス機会を失ったことになる。だからこそ、7月は販売額を伸ばして健全な推移時に近づいたと言えよう。

半導体市場は、世界的に見てもスマートフォンやタブレットのようなモバイル端末が景気をけん引しており、この様子は少なくとも今年後半まで続くことは間違いない。もちろん、中長期的にも、モバイル端末は医療・ヘルスケアの身体データ表示・蓄積・送信や、スマートコミュニティにおける電力表示、カーエレクトロニクスとの連動など、新たな応用範囲はこれからもますます拡大する。


図2 日本製FPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ

図2 日本製FPD製造装置の受注額・販売額・B/Bレシオ 出典:SEAJ


一方のFPD製造装置は残念ながら芳しくない。図2を見る限り、受注が急速に縮小している。このためB/Bレシオは7月に0.45という異常な数値を記録した。7月の受注額が5月の362億6800万円から比べると半分以上減少し156億6500万円と大きく落ち込んだのに対して、販売額は351億7300万円とさほど落ちなかったからである。

スマホの画面はテレビ用の画面と比べ面積比で2桁も小さいため、スマホ液晶ディスプレイ製造設備は、これまでガラス基板の大きさだけで世代を定義していたテレビ用の設備とは大きく異なる。テレビ時代はひたすら画面を拡大し、そのガラス基板の大きさが世代を決めていた。けん引デバイスがテレビでもパソコンでもなくなった今、スマホというモバイル端末サイズ用の設備が求められている。大型設備とは異なる、例えば低温ポリシリコンTFT用のレーザーアニール装置や、酸化物半導体堆積・エッチング装置などが必要になり、液晶製造装置は大きな転換期を迎えている。

(2013/08/26)

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