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民生用MEMSセンサで売り上げトップに立ったSTマイクロ−Yoleがレポート

MEMSセンサがスマートフォンで大量生産ビジネスに変わり、STマイクロエレクトロニクスがMESM業界のトップに躍り出た。このような結果をフランスの市場調査会社のYole Developpementが発表した。STのMEMS売り上げは10億ドルを突破したという。

図1 MEMS売り上げのトップ3社 出典:Yole Developpement

図1 MEMS売り上げのトップ3社 出典:Yole Developpement


Yoleによると、STは2012年にMEMS製品の売り上げを10.3%増の10億ドルの大台に乗せた。加速度センサとジャイロスコープの主力製品の平均単価が前年比で20〜30%減少したが、それをカバーするためMEMSセンサチップを個数ベースで前年比58%も出荷を増やした。STは、8インチウェーハで大量受注に整えていたために、量産に間に合い十分な数量を出荷できたと、Yoleは見ている。さらにSTは、携帯電話市場の価格要請に合うように、多数のMEMSデバイスを購入する顧客に対してディスカウントしている、ともYoleは述べる。

一方のSTは、「信頼できるワンストップMEMSパートナーになる」という戦略を持っている。現実にSTは、2006年にMEMSファウンドリ以外のビジネスを始め、自社ブランドの製品ポートフォリオを次々と広げてきた(図2)。同時に、MEMS業界の主力製品は、従来のエアバッグ用加速度センサやインクジェットプリンタ用のヘッド、テキサスインスツルメンツ(TI)のDLPプロジェクタ用のMEMSデバイスから、市場の大きな民生用エレクトロニクス市場へと変わってきた。ロバートボッシュは慣性センサ製品によって14%のMEMS成長を遂げた。この結果、長い間トップに君臨していたTIに近づいた。


図2 STは製品ポートフォリオをいかに広げてきたか 出典:Yole Developpement

図2 STは製品ポートフォリオをいかに広げてきたか 出典:Yole Developpement


STのような大きなIDM(垂直統合型の半導体メーカー)は、市場からのアグレッシブな低価格攻勢に対しても量産能力があるため有利に働くとYoleは見る。顧客にとってこの量産能力は、さまざまなMEMSセンサをワンストップで購入できる単純なサプライチェーンとして活用できる。

現在STは、MEMSデバイスを毎日400万個量産しているという。慣性センサから、民生用の圧力センサやマイクロフォン、電子コンパスなどを生産している。IDMとして、MEMSセンサ向けのASICを設計したり、実績のあるLGAパッケージにチップを収容し、並列テストを行ったりできるというIDMならではの特長を生かしている。加えて、パートナーとも協力し、例えばマイクロフォン技術はオムロンから導入し、ハネウエルから磁気センサ事業を購入、新製品をいち早く市場に投入している。

(2013/03/06)
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