スマホはクアルコム、タブレットはアップルが首位のモバイルプロセッサ市場
2012年第3四半期(6月〜9月)におけるスマートフォンとタブレット向けのアプリケーションプロセッサ(モバイルプロセッサともいう)の世界市場を調査会社のストラテジーアナリティクス(Strategy Analytics)が発表した。それによると、スマホ向けはクアルコム、タブレット向けはアップルがそれぞれトップに立った。

図1 スマホ向けアプリケーションプロセッサの市場シェア 出典:Strategy Analytics
この調査レポートによれば、2012年第3四半期におけるスマートフォン向けアプリケーションプロセッサの世界市場は前年同期比58%増の38億ドル、第1位のクアルコムは42%のシェアを占めた。2位のサムスン電子、3位のメディアテックに続き、4位はブロードコム、5位STエリクソン、さらに6位テキサスインスツルメンツ(TI)、7位nVidia、8位スプレッドトラム(Spreadtrum)、9位にインテルが入った。
ちなみに8位でシェア1.7%を獲得しているスプレッドトラムは上海に本社を置く中国のファブレス半導体企業で、2001年に設立された。ベースバンドチップの設計を主として、アプリケーションプロセッサへと製品を広げている。すでにHSPA+やTD-LTEのモデムを設計する実力がある。
2位のサムスンはiPhoneのアプリケーションプロセッサA4、A5、A6などを手掛けており、その売り上げはiPhoneとギャラクシー向けのプロセッサによるものと見てよいだろう。また、TIは初めてトップ5から落ちた。TIはノキアと共に成長してきたが、ノキアのスマホでの出遅れに引きずられ、一緒に沈んだ感がある。
図2 タブレット向けアプリケーションプロセッサの市場シェア 出典:Strategy Analytics
タブレット向けのアプリケーションプロセッサは、アップルが53%を占め、第2位のnVidiaが1/3を獲得した。nVidiaのアプリケーションプロセサTegraシリーズは、iPad以外のタブレット市場を席巻した。グーグルのNexus 7とマイクロソフトのSurface RTのデザインウィンを獲得したことが大きいとストラテジーアナリティクスは見ている。
またタブレット用では、アプリケーションプロセッサとベースバンドチップは別々に組み込まれることが多い。この二つの機能を集積したチップに強いクアルコムやブロードコム、メディアテックなどはタブレット市場で苦戦している。
タブレット向けのアプリケーションプロセッサ市場は2012年第3四半期で9億ドル、とスマホ市場に比べるとまだ小さいが、その伸びは大きく前年同期比77%増となっている。
ただし、この調査では、アップルのiPhone用のアプリケーションプロセッサをサムスン製、iPad用のアプリケーションプロセッサをアップル製としており、アップルとサムスンのプロセッサの定義が今一つはっきりしていない。