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ICインサイツ、半導体IC産業は年率8%で成長すると予測

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米市場調査委会社のIC インサイツ(Insights)は、2021年までの半導体ICの市場について調査したところ、その年平均成長率は8.0%となると結論付けた。これは半導体ICの出荷量はこれまでよりも伸びなくなるものの平均単価が若干上がるという傾向を見出した結果である。

表 2021年までのICは8%で成長する 出典:IC Insights

表 2021年までのICは8%で成長する 出典:IC Insights


同社によると、1996年から2011年までのIC産業の年平均成長率は5.2%だった。これは、ICの出荷量が年平均9.5%で成長し続けてきたが、ICの平均単価は年平均-4.0%で下がってきたことによる。ここ1〜2年のファブライト戦略の影響が今後大きく出てくるとして、これまでとは大きく違う様相になるとみている。

将来に影響を及ぼすファクタとして主に次の四つがある。
(1) IC産業がファブライト戦略に舵を切ったことから、新たに参入してくるIC製造のベンチャー企業はほとんどないだろうとする。この結果、既存のメーカーが過剰な投資を緩めるだろうと同社は見ている。
(2) ファブライトのファウンドリの動きが出ていることから、IC生産能力を上げるための過剰な投資は少なくなるだろうとする。
(3) 売上高に占める設備投資額の割合が徐々に減少するとの見方から、2011年にこの割合は21%だったが、2012年は19%、21年には15%となると予想する。
(4) 450mmウェーハプロセスへの移行が遅れるとみて、IC製造の次世代低コスト技術(14nm、EUV、3次元トランジスタなど)も遅れるだろうとする。

IC出荷量が1996〜2011年の年平均出荷量の伸びであった9.5%から、2021年までの10年は、7.0%へと下がると想定する。世界のGDPが精彩を欠き電子システムに対する需要が冷え込むと、高集積化によってシングルチップ上に機能をたくさん載せるようになると見ているからだ。このため、チップの単価が少し上がる方向になる。同社は、IC単価の年平均の伸びは1%として2011年の平均単価1.37ドルから2021年には1.51ドルに上がると予想している。

このような動きは、アナログ・ミクストシグナルICのメーカーであるMaxim Integrated社が高集積化を指向し始めていることと一致しており、ICインサイツの予測を支持している。Maximの話は近いうちに紹介する。

(2012/09/20)

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