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サムスンGalaxy Note 10.1タブレットの利益マージンはiPadより大きい

サムスンのタブレット、Galaxy Note 10.1はiPadよりも利益マージンが大きい、とIHS アイサプライ(iSuppli)が発表した。これはGalaxy Note 10.1を分解して部品コスト(BOM)から算出して得たもの。

表1 16GB、HSPA+版のGalaxy Note 10.1の主要な部品コスト 出典:IHS iSuppli

表1 16GB、HSPA+版のGalaxy Note 10.1の主要な部品コスト 出典:IHS iSuppli


市場調査会社のアイサプライには、電子機器を分解するティアダウン解析サービス部門がある。今回分解・解析したのは、ディスプレイサイズが10.1インチのタブレットGalaxy Note 10.1でHSPA+版である。全ての部品コストは283ドルとなることがわかった。製造コストを加えると293ドルになる。このタブレットは640ドルで販売されている。表1は、ハードウエアと製造コストだけであり、ソフトウエアやライセンス料、ロイヤルティ料などの費用は含んでいない。

同じGalaxy Note 10.1 のWi-Fi版だと小売価格は499ドルで、その部品コストは260ドルだとしている。アイサプライによると、アップルのiPad(16GBのNANDフラッシュを搭載したWi-Fi版)の小売価格は同じ499ドルで、その部品コストは316ドルだったとしている。

アップル以外のタブレットはもっとマージンは少なく、グーグルのNexus 7やアマゾンのKindle Fireなどのハードウエア部品コストにはマージンがほとんどないという。ただし、彼らは、もっと複雑なビジネスモデルやオンラインサービスなど別の手段で利益を出そうとしている。

サムスンのマージンが大きいことには理由がある。一つは内製の部品を多数使っていることだと見る。表2の詳細にあるようにフラッシュメモリやDRAM、アプリケーションプロセッサ、Liポリマーバッテリなどサムスン製が多い。


表2 Galaxy Note 10.1に搭載されている主要な部品 出典:IHS iSuppli


もう一つは、外部から購入する部品でも他のタブレットやスマートフォンにも流用することで、より購入数量を増やしているためでもある。例えば、アプリケーションプロセッサにはサムスン製のクアッドコアExynosを使っているが、これを同じものがGalaxy S IIIにも使われている。ワイヤレスのチップセットでは、インテル製のベースバンドプロセッサPMB9811とRFトランシーバPMB5712がGalaxy S IIIにも使われている。

アイサプライによるとGalaxy Note 10.1に搭載されている新技術はほとんどないとしている。iPadになくてGalaxy Note 10.1にある唯一の機能はタッチスクリーン用のペンだけだという。このペンは日本のワコムのデジタイザーペンW8008だとしている。このタブレットはタッチスクリーンで絵を描くことが最大の特長だからだ。

サムスンはバッテリも製造しており、最新Liポリマーのバッテリパックを搭載しているが、そのエネルギー密度は増えた。従来のタブレットでは450Wh/Lだったが、Galaxy Note 10.1では520Wh/Lに増加したという。

(2012/08/30)
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