BluetoothビジネスがLE規格の追加で、第2の成長期に突入
BluetoothのチップやIPを搭載した機器が2010年から2015年までの間、年率29%で成長するという見通しを米市場調査会社のICインサイツ(IC Insights)が発表した。これまでもBluetoothは携帯電話機や民生機器に採用されてきたが、Bluetooth 4.0という低消費電力のBluetooth LE規格の登場が成長のエンジンとなりそうだ。
図 Bluetooth LE規格の用途拡大により第2期成長へ 出典:IC Insights
Bluetoothは、2000年ごろに規格が固まり、相互接続性(インターオペラビリティ)の確認作業を経て立ち上がった。最初は欧州の携帯電話機と耳に掛けるヘッドセットとの通信によってハンズフリー通話の需要が大きかった。欧州では携帯電話をかけながらのクルマの運転は禁止され、厳しい罰則が科せられた。2000年代はCSR(旧Cambridge Silicon Radio)社が大きな市場シェアを占め、続いてBroadcomが市場を二分した。
ICインサイツによると、2006年までに出荷されたBluetoothモジュールは累積で10億個を超えたが2008年には累積で20億個、2010年40億個と大きく成長してきた。2008年の9億4800万個までずっと右肩上がりで成長してきたが、2009年にリーマンショックの影響を受け、初めてマイナス成長となる9億2300万個に落ちた。しかしそれ以降は順調に右肩上がりに成長してきた。2010年は1年間で初めて10億個を超え、11億9000万個となり、11年は15億1000万個になった。今年は19億6500万個と予想されている。2015年には42億個になると見られている。
ここまでICインサイツが強気に予測する理由は、Bluetooth Low Energy(LE)規格であるBluetooth 4.0がワイヤレスPAN(パーソナルエリアネットワーク)として使われるようになってきたからだ。ヘルスケアやスマートエネルギー、スマートホームなどPANをけん引する応用が開け、第2の成長期を迎えるという訳だ。
特にヘルスケア用途では、無線でつながる体温計や心拍計、体重計、血糖値メーター、歩数計などのデータを携帯電話やスマートフォンに送信する用途でのインターフェースにBluetooth LEが認定された。消費電力が低いBluetooth 4.0 BLEは、これらのセンサからのデータをスマートフォンに送り、そこからインターネットを通して病院や医師に送る。
既存の用途に対しても携帯電話機やスマートフォン、タブレット、PDA、パソコンに搭載されており、さらには自動車にも搭載されるようになる。自動車に搭載しておくと、ヘッドセットがなくてもクルマを運転しながらハンズフリーで通話できる。現在Bluetoothは、高級車にしか搭載されていないが、2015年に向けて徐々に中小型車、軽自動車にも採用されるようになると見ている。クルマ用では、スマホや音楽プレイヤーを車内においておくだけで無線によって、携帯機器内の音楽をクルマ内のオーディオシステムで聞くことができるようになる。