世界半導体製造装置、Q1から上向きに、Q2以降も上昇傾向は続きそう
世界半導体製造装置の2012年第1四半期(Q1)は上向きに転じた。これはSEMIとSEAJ(日本半導体製造装置協会)が共同で世界100社以上の半導体製造装置メーカーから毎月提供されるデータを集計したもの。世界の販売額は前四半期比13%増の106億1000万ドルに達した。
図 世界半導体製造装置販売額 出典:SEMIとSEAJ
世界の半導体製造装置は2009年のリーマンショックで大きく凹んだ後は回復の道を歩んできた。しかし、2011年第2四半期をここ数年のピークとしてQ3、Q4と減少傾向だった。最近になり、最先端の製造装置を必要とする28nmプロセスの生産能力が足りないことが判明した。このため、第1四半期に上向き傾向に転じたが、生産能力解消には至らず、2012年Q2以降も上昇傾向が続くと思われる。
というのは、最先端および開発中のスマートフォン/タブレットの心臓部となるアプリケーションプロセッサの生産が依然として間に合わないからだ。ファブレストップのクアルコムは、TSMCの生産能力が足りなすぎて今年の売上目標を下方修正したほどである。TSMCは80~85億ドルの設備投資計画を立てた。UMCも28nm、20nmラインの増強に同様な金額を投資して新工場を建設する。サムスンはアップルiPhone5向けのアプリケーションプロセッサ(A6かもしれない)の立ち上げに躍起になっている。今週初めのアップル開発者会議にiPhone5の発表が期待されたが、残念ながら間に合わなかったようだ。
アップルは月産数百万個以上という高い量産レベルの製品を作り出すため、生産体制が整わない現状では発表しない。日本経済新聞の6月12日の夕刊ではiPhone5の発表を秋になりそうと見ているが、おそらく秋以降にずれ込むのではないだろうか。28nmプロセスの量産はそう簡単ではないはずだ。iPhone5=A6=28nmプロセス、あるいは新Android phone = Snapdragon S4 / Tegra-3 / OMAP-5 = 28nmプロセス、という図式が半導体製造装置市場を活発にしている。