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2011年の世界半導体売上トップ20社、Intel、Qualcommが急伸、メモリ沈む

米国の市場調査会社ICインサイツ(Insights)が2011年の世界半導体企業トップ20社を発表した。これは各社から第3四半期の結果が出て、さらに第4四半期を見積もり、各社の業績をまとめたもの。これによると今年はメモリが不調、ワイヤレス通信が好調、という結果になりそうだ。

表1 2011年世界半導体トップ20社 出典:IC Insights

表1 2011年世界半導体トップ20社 出典:IC Insights


トップの米Intelは前年比26%増の505億9200万ドルになる見込みで、2位の韓国Samsungの344億6700万ドルを引き離す。Intelの業績は、Samsungと比べて昨年は1.24倍にまで迫られたが、今年は1.47倍とその差は開く。Intelが大きく伸びた理由は、ドイツのInfineon Technologiesから通信用半導体部門を買収したため。パソコン用プロセッサに特化してきたIntelにとって通信コネクティビティ分野は、のどから手が出るほど欲しかった。Infineon買収が奏功した格好だ。

トップ20社でもっとも大きく伸びそうな企業は米Qualcomm社であり、昨年の10位から8位に飛躍し、前年比33%増の95億8800万ドルとなる見通しだ。7位で96億4500万ドルのスイスSTMicroelectronicsに迫る勢いである。伸びた理由はスマートフォン用のICによる。スマホ自体の市場は今年73%伸びそうだと予測されており、そのモデムチップをしっかり握るQualcommの大きな伸びにつながる。

一方で、最も沈む企業はエルピーダメモリで、昨年の13位から一挙に19位まで転落する見込みだ。エルピーダの業績は前年比39%減の39億4700万ドルになるが、これでも円高の影響でましな数字である。円で表せば前年比50%減となる。エルピーダが最も落ち込むのは、DRAMしか手掛けていないためだ。今年はメモリ全体で良くなかったが、とりわけDRAMは全く伸びなかった。単価が下がりっ放しでビット需要も旺盛ではなかった。NANDフラッシュはスマホやタブレットに大きな需要が見込まれており、そのメーカーの業績はさほど悪くない。

Qualcommの次に好調なのはInfineonである。通信部門をIntelに売却したのにもかかわらず、残りの部門が30%も伸びたため、前年比6%減の57億200万ドルに留まった。Infineonは自社の分野を自動車、工業用&エネルギー、カード&セキュリティの3つに絞り込み、得意なところを伸ばしたことによる。

伸び率だけを見ていると、ソニー16%、富士通11%、台湾TSMC10%と2ケタ成長しているように見えるが、これはドル安のせい。昨年のレートに換算するとそれぞれ6%、1%、2%とさほど伸びていない。

為替レートに関係なく次に伸びそうなのは米Nvidiaだ。前年比11%増となり、39億5100万ドルで、昨年の23位から18位に上昇した。元々グラフィックスチップに強い同社は、アプリケーションプロセッサTegra2でもタブレットとスマホ向けに伸ばした。

伸びなかったメモリメーカー、Samsung、東芝、韓国Hynix、米Micron、エルピーダの内、Samsungと東芝だけがかろうじてプラス成長だった。為替の影響を除くと、東芝もマイナスになる。

(2011/11/07)
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